「五輪より命」 マラソン開催の札幌で中止要請相次ぐ

斎藤徹
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 来月23日に開幕が迫る東京五輪で、マラソンや競歩、サッカーの競技会場となる札幌市で五輪の中止を求める意見が相次いでいる。市内の労働団体が16日、五輪の中止を求める要請書を札幌市役所に出した。新型コロナウイルスの感染拡大で医療体制の逼迫(ひっぱく)が続いているとして、「五輪開催より市民の命を守ることを優先して」と訴えた。

 札幌地区労連は要請書で、市内では感染者の急増で医療機関で治療を受けられずに自宅で死亡する人が相次いだと指摘。東京五輪パラリンピックは中止すべきだとの見解を表明するよう、秋元克広市長に求めている。

 要請書を受け取った市スポーツ局の中田雅幸局長は、ワクチン接種やプレーブックの改訂など対策がなされているとして、開催に向けて準備を進めていく考えを示した。そのうえで、「市内の医療体制が依然として厳しい状況にあることは事実で、五輪が医療提供体制に影響を与えることがないよう、大会組織委員会に強く求めていく」と応じた。

 このあと会見した市内の医療機関に勤める医療従事者の女性は「札幌の医療現場では適切な治療を受けられない医療崩壊が続いている。屋外競技のマラソンや競歩は人の流れを抑えられず、感染がまた拡大してしまう。医療現場に負担を押しつけるのはやめてほしい。五輪よりも優先することはいっぱいある」と訴えた。

 北海道には20日まで緊急事態宣言が出されている。札幌市の新規感染者数は、15日時点の直近1週間で人口10万人当たり29人と、緊急事態宣言の目安とする国の指標で最高レベルのステージ4(感染爆発)基準(25人)を上回っている。

 札幌市内では、これまでにも感染拡大を理由に市内の医師らが五輪中止を求めた。14日に市中心部で催された聖火リレーの点火セレモニー会場近くでも、市民団体が五輪反対を訴えて抗議活動をした。(斎藤徹)