大阪宣言解除、判断は国任せ 吉村知事、従来から一転

新型コロナウイルス

久保田侑暉
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 大阪府は16日、新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言の解除後は「まん延防止等重点措置」に移行し、飲食店への時短営業要請などを継続できるよう政府に求めた。経済活動の再開を求める声と、感染再拡大へのブレーキの両方を突きつけられた吉村洋文知事。主体的な判断を示すことにこだわってきた宣言解除の是非について、今回は意思表示を見送った。

 重点措置の適用要請を決めた16日の府対策本部会議の終了直後。吉村知事は記者団に「国が緊急事態宣言を延長すると判断すれば、当然受け入れる。解除するなら重点措置は適用すべきだ」と語った。

 吉村知事はこれまで、「緊急事態宣言の延長か解除か最終決定権は国にあるが、府としてきちんと意思表示をすべきだ」と繰り返してきた。しかし、今回は従来の姿勢が一転。宣言解除の是非について自身の判断は示さず、受け身に徹した。府幹部は「本来なら宣言解除を求めるのかどうかの議論があった上で、重点措置の議論があるべきだ」と指摘する。

 吉村知事が宣言解除を求めず、「解除」という言葉さえも避ける背景にあるのは、2回目の宣言をめぐる苦い経験だ。

 府からの宣言の解除要請を踏まえ、政府は2月末での解除に踏み切った。府の資料によると、約1カ月間で人出は1・5倍になり、3月下旬から「第4波」は急拡大した。府庁内には「解除要請で感染対策を緩めていいという空気が広がった」との見方がある。ある府幹部は「知事は第4波で起きたことを胸に刻んでいる」と指摘。吉村知事も「元の道に戻ってはいけない」と強調する。

 インド型変異株の感染が増え始めた現状は、第4波で従来株から英国型変異株へ置き換わった状況と似通ってもいる。それでも吉村知事は、宣言延長を求めることはなかった。府幹部は「感染者が減っているのに延長を求めれば、飲食店経営者らは誰も付いてこなくなる」と説明する。

 政府が宣言を解除するなら、重点措置の適用によって感染対策を継続する――。これが吉村知事が出した答えだった。しかし、特別措置法上、重点措置では商業施設などへの休業要請はできず、要請範囲を府内全域にすることも難しい。対策は一部緩和され、府民の意識に影響を与える可能性もある。

 大阪市松井一郎市長は16日、重点措置で感染拡大を抑止できるか記者団から問われ、こう答えた。「重点措置の効果には疑問符が付くところ。やってみないと分からない」(久保田侑暉)

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