殺人など裁判員裁判の対象になる事件で警察が行っている取り調べの録音・録画(可視化)について、警察庁が2020年度の実施状況をまとめた。本来は可視化すべきなのに誤って実施しなかった例は5件で、前年度の24件から大きく減った。同庁への取材でわかった。
自白が冤罪(えんざい)をうんだ事件などを教訓に、警察は08年度から可視化の試行を始めた。対象を広げながら、13年度に全過程の可視化が始まり、割合は年々上がってきた。改正刑事訴訟法が19年6月に施行され、裁判員裁判になる事件は全過程の可視化が義務づけられた。
逮捕後の全過程を可視化した事件は20年度は3388件で、対象事件の95・6%。前年度から1・4ポイント伸びた。警察庁は「可視化は捜査の現場に定着し、幹部や捜査員の意識にも浸透してきている。ミスの根絶にむけ、引き続き指導を徹底していく」としている。
対象事件のうち、全く可視化しなかったのは82件、一部しかしなかった例は74件あった。この計156件のうち151件は法律が例外として認めたケースで、機器の故障のほか、容疑者が暴力団員だったり容疑者が録音・録画を拒んだりした場合だった。
残る5件は可視化すべきなの…
【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!秋トクキャンペーン実施中!詳しくはこちら