「記事30本が国安法違反」 香港リンゴ日報幹部を逮捕

香港=奥寺淳
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 中国政府に批判的な香港紙「リンゴ日報」を発行するメディアグループの最高経営責任者(CEO)ら幹部5人が17日、香港国家安全維持法国安法)違反の疑いで香港警察に逮捕された。警察によると、約30本の記事が外国に中国や香港政府への制裁を求める内容だったとして、「外国勢力と結託して国の安全に危害を加えた」としている。

 同紙創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏も未許可デモ組織の罪などで実刑判決を受け、国安法違反の罪でも公判が続く。中国に対し反体制的な言動を取り締まる国安法のもとで、当局が黎氏個人だけでなく、リンゴ日報というメディアにも照準を定めていることが鮮明になった。報道の自由が脅かされる事態に、国際的な批判が高まりそうだ。

 同紙によると、同日朝に逮捕されたのは、同紙を発行する「壱伝媒(ネクストデジタル)」CEOの張剣虹氏や最高執行責任者(COO)の周達権氏、リンゴ日報編集長の羅偉光氏ら幹部5人。警察は同社本社を捜索し、取材資料も含めた文書などを押収。リンゴ日報や印刷会社など3社の資産約1800万香港ドル(約2億5500万円)を凍結した。

 同紙本社前で会見した香港警察国家安全処の李桂華・高級警視は、「2019年から現在までにリンゴ日報の紙面、デジタル版に掲載された約30本の記事が、外国に中国や香港政府に対する制裁を呼びかける内容だった」と主張。ただ、具体的な容疑の内容については明らかにしなかった。香港メディアによると、警察は同紙に対し、外国に中国と香港政府への制裁を求める内容の記事を削除することを求めるという。

 中国共産党の主導で国安法が施行されて以降、香港警察は民主派を相次いで逮捕し、弾圧姿勢を強めている。創業者の黎氏も、SNSやメディアを通じ香港の民主派への支持を訴えたことが中国や香港への米欧からの制裁につながったとして、外国勢力との結託の罪に問われている。(香港=奥寺淳