知事選、大学生はどうみる

魚住あかり
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 【静岡】知事選は20日に投開票される。県内選挙で、低投票率が続く若い人々は知事選をどのように見ているのか。候補者の演説を分析する県出身の大学院生や政治を学ぶ県内の大学生に、選挙への思いや次のリーダーへの期待を聞いた。

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 新型コロナウイルスのワクチン政策では両候補の主張がかみあわず、リニア問題の着地点もわかりにくい――。島田市出身の法政大大学院1年の井口恭兵さん(22)は13日、両候補の演説を聞いてそう思った。「特にリニア問題では具体的なビジョンを示してほしい」

 井口さんは、静岡県政の研究を20年以上続けている法政大・白鳥浩教授の研究室に所属。静岡大を卒業後、「静岡の政治を多角的に見たい」と進学した。

 同研究室は2001年の知事選から分析を続ける。今回は告示日のほか、主に週末を中心に、現職の川勝平太氏(72)と新顔の岩井茂樹氏(53)の演説を撮影・録音し、時間や内容から特徴を探った。

 たとえば、告示後、最初の日曜だった6日。川勝氏は、この日唯一の街頭演説に21分かけた。リニア中央新幹線の工事に伴い流量減少が懸念される大井川南アルプスなどの環境問題が全体の46・28%を占め、リニア問題でのJR東海や国の対応への批判が17・8%だった。

 岩井氏のこの日最初の演説は5分。川勝県政を多様な形で批判し、国や市町、JR東海との対話の必要性(26・62%)、ワクチン政策の不備(25・32%)などに時間を使った。13日のJR静岡駅南口での演説でも、6分のうち約半分をコロナ対策など現知事の政治姿勢への批判に使った。

 井口さんは「川勝知事は『水を守るリーダー』としての姿勢を強調し、支持を集めている。それでも個人的には上からモノを言っている印象があった」と指摘。「岩井氏は県政刷新の必要性を訴えるために現県政の批判が多くなっている。ただ、なぜ知事を代えるのか説得力が弱いと感じた」と話す。

 井口さん自身は知事に「静岡の魅力を売り込める人」を期待する。上京して、東京では静岡県の良さがほとんど伝わっていないと感じた。

 「気候や食など静岡にはポテンシャルがあるのに十分に発信できていない。新しい知事にはトップセールスで売り込んでほしい」

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 県内の大学生は知事選に、どんな関心を持っているのか。

 静岡大学3年の土屋宏斗さん(20)は「農業など既存産業だけでなく、新しい産業の支援もしてほしい」と話す。昨年4月の衆院補選などで自民党議員の選挙ボランティアに関わり、今年1月には会社を立ち上げ、政治家のSNS発信を支援している。ただ、周囲には政治家の投稿に興味を持つ人は少ない。「若い人にリーチするのは難しい」と苦笑する。

 愛知県出身の同大3年の大野ほのかさん(20)は、リニア問題に対する県内外の熱量に差を感じている。「リニア問題で、静岡県は建設を止めている『悪者』と思われがち。県内の活発な議論を県外にも発信してほしい」と期待する。

 同大2年の下田啓介さん(19)は富士市出身。将来は県内で公務員として働きたいという。心配なのは南海トラフ地震。「いつか必ず来ると言われている。備えを万全にしてほしい」

 知事選の論戦のあり方に疑問を持つ人もいる。政治学のゼミに所属する同大2年の四條瑞樹さん(19)は「候補者同士で批判しあうよりも、具体的な提案をしてほしい」と話した。(魚住あかり)