「ウイルスの巣窟」視されたライブハウス 代表の憤り

新型コロナウイルス

小田健司
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 【福井】コロナ禍で、まるで「ウイルスの巣窟」のように呼ばれた業界がある。「ライブハウス」もその一つだった。福井市にある「福井CHOP」代表の山本治和さん(62)も、「世間の目」に憤った一人だ。

 CHOPは1994年のオープン。広さ80坪で、立ち見なら250人が入る。斉藤和義さんやCharさん、スガシカオさんらそうそうたるアーティストがステージに立ち、無名時代のゴールデンボンバーも直接、ライブの交渉で連絡してきたという。

 コロナ前は、東京をはじめ各地のロックバンドのライブが月に8~10回は入っていたが、昨年2月ごろから影響が出始めた。クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」で集団感染が明らかになり、国全体に緊迫感が漂っていた。福井で感染者は出ていなかったが、パフォーマーの多くは都市部から来るからだ。キャンセルが相次いだ。

 「ライブはなくなっても、このときはキャンセル料が入っていたので、まだマシだったんです」

 少し我慢すれば好転するだろうと思っていたが、悪化するばかりだった。

 3月、大阪市のライブハウスでクラスターの発生が報じられると、密閉空間で飛沫(ひまつ)が飛びがちなライブハウスは「ウイルスの巣窟のように受け止められました」。たまに入ったライブでバンドが音を出せば、電話がかかってきた。受話器を取ると、切れた。

 4月、福井県がライブハウスなど広範囲の業種に休業要請した。しばらく休み、その後は、ライブがある日だけ営業した。そのライブ予定も、月に数件あるときもあれば、まったく入らない月もあった。

 持続化給付金など国の支援を受けて、政策金融公庫の無利子の融資も使った。県による休業要請の協力金などもあったが、大きかったのは民間による支えだ。

 ミュージシャンが音源やグッズを販売して全国のライブハウスを支援するチャリティー。著名なアーティストから地元のバンドまで取り組み、CHOPも複数回、支援を受けた。

 好転しない状況に、バーの営業や昼間のカフェ営業も考えるが、「他の多くの飲食業も厳しいのに、ライブハウスのうちがやったところで……」と二の足を踏んでいる。開ければ開けたで材料費や光熱費がかかるのもネックだ。

 不安材料ばかりで建物ごと売り払うことも頭をよぎるが、支援を受けた身で諦めることが許されるのか、とも自問する。

 昨年の初めごろは、イベンターも「秋くらいには大丈夫なんじゃない?」と、予定を組んでくれていた。しかし、パンデミックは収まらず、予定通りやれたりやれなかったりの状態が続いた。業界の慣習で、「ちょっと押さえておいて」という程度の「口約束」は、中止になってもキャンセル料は出ないという。

 昨年夏以降は、オンラインのライブ配信などにも取り組んだが、継続的にコンテンツを出すのは難しく、なかなか収益につながらなかったという。

 今年5月は週1回ほどライブがあり、6月も同じ程度には入りつつある。可能な場合は、1つのバンドのライブを1日2回にして、1回あたりに入る客を減らす工夫もしている。

 しかし、大学や企業が、学生や社員にライブハウスへの出入りを自粛するよう促している、といった情報も耳に入る。

 「最初からライブハウスはやり玉に挙げられていましたが、大阪の後にはライブハウスでの目立ったクラスターは聞いていません。本当に起きているのでしょうか。理不尽さを感じますが、感染対策をしっかりやってライブをしていくしかありません」(小田健司)

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