大学最後の思い出づくり サッカー部員4人がカフェ

平山亜理
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 サッカー一筋だった大学4年生のサッカー部員たちが、週に一度だけカフェを始めた。ドリップコーヒーの入れ方を特訓し、タルトなどは寮で試行錯誤しながら手作り。売り上げの一部は、貧しさからサッカーをあきらめている子どもたちの支援に充てている。

 甲府市中央2丁目の古民家レストラン「ヤマワラウ」の定休日(月曜日)だけ開かれる「いちらカフェ」。山梨学院大4年でサッカー部の中村涼さん(21)が、仲の良い部員3人に声をかけて始めた。「大学生活の思い出づくり」のつもりだった。

 中村さんはカフェ巡りが好きで、県内のカフェを70軒以上回った。「自分もカフェをやってみたい」。知り合いのコーヒー店主に相談すると、古民家を改修した設計事務所を営む大原勝一さん(56)を紹介された。

 地域活性化のために活動している大原さんは、4人の熱意に動かされ、協力してくれることになった。4人とも、大学のサッカー部の強化指定選手のため、起業ではなく、アルバイトとして大原さんに雇ってもらうことにした。

 店名の「いちら」は、山梨の方言で「何々のまま」の意味。コロナ禍で制限された生活が続く中、誰もがありのままの自分でいられる場所を作りたい。そんな願いを込めた。

 コーヒーは、浅煎りを2種類。メニューはクリームソーダや焼き菓子、サンドイッチ、ホットサンドなど。「インスタ映え」するものを選んだという。

 甲府市出身の中村さん以外は県外出身で寮生活。児玉征哉さん(21)は菓子作りも担当する。営業日の3、4日前から寮の台所で、クッキーを砕きタルトを生地から作る。甘い香りに誘われて近づいてくる友人らに試食してもらう。

 中村さんはコーヒーの入れ方を、県内で店を開くプロのバリスタに学び、開店前には200杯ほど入れて練習した。

 ホットコーヒーは1杯300円。4月に開店した時には、一日に90人以上が訪れる大盛況だった。タルトは2、3時間で売り切れ、コーヒーの味も褒められた。「めっちゃうれしかった」。中村さんも児玉さんも声をそろえる。

 イチゴタルトのイチゴは、地元甲府産を使った。「山梨はせっかく果物が有名なので、農家ともコラボしたい」と、今後は地元の桃やブドウなども使う。

 売り上げの一部は、NPO法人を通じ、貧困のためサッカーをしたくてもできない子どもたちに寄付している。「僕たちはサッカーを当たり前にやっている。でも世界や地元では家庭の事情でできない子がいる」

 中村さんは、プロのサッカー選手を目指し、豪州に行きたいという。児玉さんは営業職の就職が決まるなど、来年からは、それぞれの道を進む。コロナ禍でカフェはしばらく休業していたが、21日から再開する。今年いっぱい営業するつもりだ。営業は月曜日の午前11時から午後8時まで。平山亜理