母さんが好きだったから 父の日に読む「ひととき」後編

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朝日新聞ポッドキャスト 父の日に読むひととき(後編)

 20日の「父の日」にちなみ、朝日新聞生活面の投稿欄「ひととき」から、「父」にまつわる印象深い掲載作を紹介するシリーズ。後編は、血のつながりだけではない、様々な父の姿がテーマです。投稿を選んだ担当記者の佐藤啓介(東京本社)と松尾由紀(大阪本社)に、MC大野由衣が、その理由などを聞きました。朝日新聞ポッドキャストでお聞き下さい。

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父の日を前に

 まもなく、父の日がやってきます。私のお父さんは5カ月前に92歳で、あの世に旅立ちました。戦争に行き、商売の後を継ぎ、不自由な体で働き続けたお父さん。人生に満足だったでしょうか。

 お父さんが、私の実の父ではないことを知ったのは小学校3年生のころでした。実の娘である妹とも分けへだてなくよくしてくれ、それまで一度もそんなことを考えたことはありませんでした。

 いつか、お父さんにこんな風に聞いたことがありました。生まれる前に実父を亡くしていた私や若くして残された母をかわいそうだと思ったから結婚してくれたのか、と。こう優しく言ってくれました。

 「そんなことはないよ、やっぱり母さんが好きだったから」

 あの時、私はとてもうれしかった。家族3人で栃木県の日光まで新婚旅行に出かけた話もしてくれました。その途中で、私が熱を出してしまったことも。

 亡くして初めての父の日を迎…

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