食料難なのに「農作業より木を植えろ」 北朝鮮が大号令

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丹東〈中国遼寧省〉=平井良和
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 食料難に苦しむ北朝鮮が今春、猛烈な勢いで植林を進めた。その数は「1カ月で1億本超」だという。いったい何が起きているのか。(丹東〈中国遼寧省〉=平井良和)

裸の山肌に響く正恩賛歌

 「朝から晩まで願いはただ一つ。元首さまの安寧です」

 5月上旬、中国遼寧省から、中朝国境を流れる鴨緑江を挟んで対岸にある北朝鮮の農村を見渡すと、金正恩(キムジョンウン)総書記にまつわる「燃える願い」と題された歌が聞こえてきた。

 スピーカーの周囲では、50人以上の人たちが土を運んだり石を積んだりとせわしなく動き、土砂崩れが起きたとみられる崖沿いの道を直している。

 作業場に掲げられているスローガンは「軍民大団結」「生産を担保せよ」。小屋などに掛けられた軍服から、農村支援の軍人と村人による共同作業であることがわかる。

 そばの山の斜面には、指導役の男性の説明を受けながら、樹木の苗木を植えている女性たちの姿が見えた。

 国境沿いの北朝鮮の村々はどこも山肌一面が畑になっている。急な斜面を山頂まで開墾し尽くした場所もある。ほとんど木がなくなった山肌には、所々に土砂崩れの跡が見える。そんな村々で木を植え直す集団が目立つようになったのは、今年春の農期に入る少し前からだ。

 北朝鮮北部の村々では2年前には、植林とは逆の開墾ブームが起きていた。

「開墾せよ」の号令が一転

 北朝鮮による核兵器やミサイ…

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