米ロ首脳会談の「なぜ」 それぞれの思惑を読み解くと…

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ジュネーブ=喜田尚
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 バイデン米大統領とロシアのプーチン大統領が16日、バイデン氏の就任後初めてスイス・ジュネーブで直接会談した。ジュネーブは1985年、当時のレーガン米大統領とその年に就任したゴルバチョフソ連書記長が初めて会談し、緊張緩和への一歩を踏み出した場所だ。その2人が「核戦争に勝者はない」と共同宣言に記した街で、バイデン氏とプーチン氏は新しい軍備管理協議やサイバー安全保障の問題をめぐる協議を始めることに合意した。2014年のウクライナ危機以降、両国関係が東西冷戦後最悪の状態に陥った中だったため、友好ムードというわけにはいかなかったが、両首脳は正常化への一歩を踏み出したと位置づけた。

 ただ、昨年8月に国内で兵器級の神経剤で毒殺未遂にあったロシアの反政権派活動家アレクセイ・ナバリヌイ氏がドイツでの治療から帰国して収監されたのはわずか5カ月前、米国でバイデン政権が発足した直後の1月末だ。米新政権はロシアの強権批判を強め、あらたな制裁を発動。反発するロシアは米国の外交官追放で応じ、米国を「非友好国」に指定して米国外交使節の活動制限を強化した。首脳会談はそんな中で行われただけに、成果をめぐる専門家らの受け止め方も複雑だ。

 ロシア高等経済学院のドミトリー・スースロフ教授は16日、ジュネーブの会談が終了した直後にモスクワで行われたフォーラムに出席。バイデン氏が、望ましい米ロ関係について多用した「予測可能で安定した関係」との表現をもじり、「会談の成果は対立を安定させたことだ」と話した。両国の対立がこれ以上エスカレートするのは双方の利益にならない。会談は何かの成果を狙ったというより、どこまで進むのか先が分からない対立を「予測可能」なものにすることが目的だったとの見方を示した。

 その成果も含め、この会談にはいくつかなぞがある。

なぜ会談は実現したのか

 ひとつは、そもそも副大統領…

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