全米が認めた神業 親友・香川照之と磨いた0.001秒

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 冒頭のボクシングの写真を、よく見てほしい。

 相手の腹部に深々と突き刺さる井上尚弥の左拳。その衝撃を物語るように、うねり、波立つ周辺の筋肉――。

 6月19日に米ラスベガスであった世界バンタム級タイトル戦で、3回に井上がダウンを奪った決定的瞬間だ。撮ったのは、世界ナンバー1とも称されるフリーカメラマンの福田直樹さん(55)。日本人で唯一、リングサイドに陣取り、誰よりも近くでこの瞬間を見た。

 「何かが破裂するようなすごい音が鳴り、拳がめり込むのが見えた。完璧に撮れた」。これまで彼が世に出したほかの写真を見ても、肉眼でも動画でもとらえきれない、千分の1秒を見事なほど切り取っている。

 鮮烈な数々の写真は、世界のメディアの表紙を何度も飾った。それらの作品は、アメリカでは敬意を込めてこう呼ばれる。

 「NAOKI’S SHOT(ナオキズ・ショット)」

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 ボクシングの写真界で、この男を知らない人はいない。2001年から米国で活動し、全米ボクシング記者会の年間最優秀写真賞を4度受賞。最も権威のある米専門誌「リング」では、14年に福田さん自身の特集が組まれた。そのタイトルは「UNDISPUTED CHAMPION(揺るぎない王者)」。

 決定的な一瞬を逃さない観察眼から、「パンチを予見する男」ともいわれる。主導権を握りそうなボクサーの視点に、福田さん自身がシンクロさせ、対戦相手にスキが生まれた瞬間にシャッターを切る――。

 ただ、彼がカメラマンになったのは30代半ばになってからだ。プロボクシング経験もない男がなぜ、そんな神業を身につけたのか。

香川さんとボクシング談義に明け暮れた青春時代

 親友の影響がある。

 俳優の香川照之さん(55)…

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