挟まれたしっぽ、窓につけたほお 本物だったこんとあき

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聞き手・田中瞳子
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 しっぽを汽車のドアに挟まれる。犬にさらわれる。それでも「だいじょうぶ、だいじょうぶ」。けなげなきつねのぬいぐるみ「こん」は、女の子の「あき」を守ろうとしながらおばあちゃんの家をめざします。「こんとあき」に、つい自分を重ねてしまうのは、作者の林明子さんからの、ある「誘い」があったからです。

「こんとあき」(福音館書店、1989年、累計140万部) 

おばあちゃんの家からやってきた、キツネのぬいぐるみ「こん」と女の子の「あき」は、生まれたときからいつも一緒。あきが大きくなるにつれて、こんは古くなり、ついに腕がほころびてしまいました。直してもらおうと、2人は汽車に乗って、おばあちゃんの住む町へ向かいます。しかし、道中では思わぬピンチも……。

亡くなった祖母との思い出

 物語は、私の仲良しだったおばあちゃんとの思い出から生まれています。35年前に亡くなった祖母は、手芸が得意で、子どもの頃から人形やお手玉、刺し子をたくさん作ってくれました。元気だったのですが、90歳を迎えたその日、いつも通りに電話で話した30分後に亡くなってしまった。「こんとあき」を出版する3年前の出来事でした。

 担当編集者で、後に夫になった征矢(そや)清さん(故人)にこの話をしていたら、「子どもとぬいぐるみが一緒におばあちゃんを訪ねていく話を作ろう」とアイデアをくれた。祖母が鳥取に住んでいたので、こんとあきの行き先は「さきゅうまち」になりました。

 ストーリーには苦労しました。

 こんが汽車の中で盲導犬に会…

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