大阪・カラオケパブ女性店主殺害 客の男逮捕 容疑否認

[PR]

 大阪市北区天神橋4丁目のカラオケパブで14日、経営者の稲田真優子(まゆこ)さん(25)が殺害されているのが見つかった事件で、大阪府警は18日、兵庫県西宮市高須町1丁目、会社員宮本浩志(ひろし)容疑者(56)を殺人容疑で逮捕し、発表した。宮本容疑者は「店には行ったが、やっていない」と容疑を否認しているという。

 捜査1課によると、宮本容疑者は11日午後9~10時ごろ、天神橋4丁目のビル5階にあるカラオケパブ「ごまちゃん」の店内で、稲田さんの首や胸を刃物で刺したり切りつけたりして殺害した疑いがある。

 司法解剖の結果、死因は失血死で、上半身を中心に十数カ所の傷があった。遺体は14日午前、床に仰向けに倒れた状態で見つかり、顔の上にはタオルのような布がかかっていたという。

 捜査関係者によると、現場付近の防犯カメラの映像や、稲田さんと交友がある関係者への聞き込みから宮本容疑者が浮上した。店の常連客の一人で、稲田さんが別の店で働いていた約4年前から客として面識があったという。

 稲田さんの知人らによると、稲田さんは最近、「客にしつこく言い寄られている」と周囲に相談していたという。府警は宮本容疑者との間でトラブルがあった可能性があるとみている。

 稲田さんは11日夕方に出勤後、同日夜以降に連絡が取れなくなった。府警が店内を詳しく調べたところ、稲田さんのスマートフォンは残されていたが、凶器とみられる刃物やドアの鍵は見つからなかった。

念願の独立から5カ月の悲報

 殺害された稲田真優子さんは念願だった自分の店を今年1月にオープンさせたばかりだった。気さくな人柄と丁寧な接客で、多くの常連客に親しまれていた。稲田さんを知る人たちは「努力して念願の独立を果たし、これからという時だったのに」と惜しむ。

 数年来の付き合いがあるという男性によると、稲田さんは兵庫県尼崎市出身。家計を支えるため、高校時代から複数のアルバイトを重ねていたという。

 20歳ごろから、大阪市北区のカラオケバーで働き始めた。男性は「連日夜から朝まで頑張り、人気は抜群だった。当時は心理療法士になりたいと、大学の通信制心理学の勉強もしていた」と振り返る。

 実家に仕送りを続けながら地道に開業資金をため、昨年7月にバーを退職した。稲田さんはその後、開業に向けてテナント探しなどに苦労しながらも、前向きに準備を進める様子をSNSに投稿していた。

 JR天満駅近くのビルに開いた新たなカラオケパブの名前は「ごまちゃん」。稲田さんが好きだというゴマフアザラシからとった。数人のアルバイトを雇い、前の店以来つながりがある客らでにぎわいを見せていた。

「早く両親楽に」 心優しき努力家 知人「なぜ」

 新型コロナウイルスの影響で一時休業を余儀なくされ、5月に営業を再開して以降は、カラオケのサービスや酒類の提供を停止した。稲田さんはそれでも客を飽きさせないよう、料理やノンアルコールの飲み物を工夫してしのいでいた。

 近くの飲食店を回っては自身のSNSで紹介し、店主らと交流を試みた。近くのラーメン店の店長は「店に遊びに行ったら後日、お礼にラーメンを食べに来てくれた」と話す。

 長年の知人は「早く両親を楽にさせたいと必死に働いていた。先日も両親がまだコロナのワクチンを打てていないと心配していた。そんな心優しい子がなぜ」と言葉を詰まらせた。