住職コツコツお掃除、13年かけ庭園復活 登録記念物に

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筒井次郎
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 13年かけて個人が往時の姿によみがえらせた滋賀県東近江市近江商人屋敷の庭園が、登録記念物になる見通しになった。国の文化審議会が18日、文部科学相に答申した。また、重要文化的景観の全国第1号「近江八幡の水郷」(近江八幡市)の選定範囲が拡大される。(筒井次郎)

 江戸時代近江商人が建てた屋敷「松樹館(しょうじゅかん)」は、東近江市五個荘竜田町(ごかしょうたつたちょう)にある。同じく近江商人屋敷が立ち並ぶ金堂(こんどう)地区に近い。

 約2千平方メートルの広大な敷地に1814(文化11)年築の主屋(おもや)など13棟が並ぶ。これらの建物は、先に国の登録有形文化財となった。

 登録記念物となる庭園は、7代目当主(1887〈明治20〉年没)の時期に造られたらしい。低い築山の周りに飛び石の園路が巡り、奥に立つ高さ3・8メートルの春日灯籠(どうろう)が印象的だ。

 「主屋から庭全体の眺めを楽しめるように設計されています」と現在の所有者の広部光信さん(50)。「庭屋一如(ていおくいちにょ)」という、庭と建物の調和を重んじる日本の伝統的な考えだ。

 作庭は長浜出身の勝元宗益(かつもとそうえき、鈍穴〈どんけつ〉)。幕末から明治にかけて活動し、生涯に500を超す庭を造ったとされる。県指定文化財(名勝)の庭園もある。

 ただ、かつて松樹館庭園は大量の落ち葉に埋もれていた。商人の子孫が転居してから40年間にわたって空き家となり、廃虚同然だったのだ。

 広部さんは近江八幡市の山寺・教林坊(きょうりんぼう)で住職を務める。同様に無人で荒れ放題だった寺を長年かけて修復し、紅葉の名所にした。2008年に松樹館を購入した際、子孫から「可能なら取り壊さないで」と要望された。家族で敷地内の建物に引っ越し、コツコツと修繕。庭園も、落ち葉拾いや草むしりを続けた。

 往年の姿を取り戻した名園は「造園文化の発展に寄与した意義深い事例」と評価された。広部さんは「子孫の願いを形にでき、肩の荷が下りました」。

 来年、期間限定で一般公開を検討している。

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 重要文化的景観とは、人の営みとかかわりながら形成された里山などの景観を指す。21世紀になって文化財保護法に盛り込まれた文化財だ。「近江八幡の水郷」は、2006年に全国第1号として選定された。

 当時は旧安土町と合併前。旧…

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