「根拠乏しい」「政府は説明を」尾身氏提言に専門家は?

新型コロナウイルス

編集委員・辻外記子
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 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長らが、東京五輪パラリンピックの開催に伴う新型コロナの感染拡大リスクに関する提言を公表した。提言を専門家はどうみるのか。

 医師で民法・医事法を専門とする米村滋人・東大教授は「東京五輪まで時間が残されておらず、もはや大がかりな対策をとるのは難しい。政府などに配慮した結果、事実上観客ありの開催が決まった時期の公表となった」とみる。

 そのうえで「目新しい内容はなく、根拠となるデータも乏しい。1カ月前に出ていたら国の決定を変える説得力を持ったとも思えない」と語る。「科学の知識を役立て、社会的決定につなげていくことがこの間の課題だったが、何ら克服できていない」。今後については、「もし開催するなら、感染しにくい空気の流れをつくる換気法の整備や高機能マスクの着用を呼びかけるといった具体的な対策を組織委に求めていくべきだ。そうした助言も抜け落ちている」と語る。

 一方、危機管理を専門とする日本大学危機管理学部の福田充教授は「感染症の専門家として提言するのはあるべき姿」とし、「受け取った政府は、『こうなればこう対処する』『そうならないようにこうする』と説明する責任がある」と言う。

 専門家と政府の関係については「専門家会議だったころから、外出自粛などのがまんを国民に促すときには専門家の言葉を使い、経済を優先したいときには話させない。政府は恣意(しい)的に専門家を利用してきた印象がある」と話す。

 五輪開催中の感染拡大も予測される。「危機管理とは、最悪の事態を想定するもの。選手や国民に想定以上の感染者がでたら、途中からでも無観客にするのか、競技を中止するのか。シナリオを考えておかないと後戻りできない。柔軟に方針を変えること、最悪の事態がおきたらどう責任をとるのか考えておくのも重要だ。きちんとした説明もなく『安全安心』とスローガンを述べ続けるのでは、政治責任を果たせない」と訴える。(編集委員・辻外記子

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