錦帯橋・城下町 重要文化的景観に 山口県内初

川本裕司 垣花昌弘
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 国の文化審議会は18日、「錦川下流域における錦帯橋と岩国城下町の文化的景観」(山口県岩国市)を重要文化的景観に、漢陽寺庭園(同県周南市鹿野上)を登録記念物にそれぞれ選定・登録するよう文部科学相に答申した。重要文化的景観の選定は県内では初めて。

 「錦川下流域における錦帯橋と岩国城下町の文化的景観」は錦川にかかる錦帯橋と、江戸時代にできた岩国城下町である錦川両岸の横山地区、岩国地区のほか、周囲の城山、岩国山の487ヘクタールの範囲。

 横山地区は藩主居館や役所、重臣の屋敷が置かれ、岩国地区には中下級の家臣屋敷や町人町があった。江戸前期の1673年に架けられた錦帯橋は建築土木技術と構造美を表す名所として当時から知られ、桜並木などとの調和、にぎわいが現在まで引き継がれている。

 錦帯橋は1922年に名勝に指定されたことをきっかけに、岩国市は風致地区にしたり、景観形成に取り組んできたりした。

 ユネスコ世界文化遺産をめざし、岩国市では「国内候補」にあたる暫定リスト入りに向けて2006年、文化庁に「錦帯橋と岩国の町割」を提案。18年には「錦帯橋」の単体で再度提案したが、暫定リスト入りは実現していない。

 14年に地元の民間で結成された「錦帯橋世界文化遺産に推す会」の川畑道子会長は「国からお墨付きを得たことで、世界遺産の暫定リストに入る可能性が高まってほしい。市民が後押しする活動も大事なので、今後も取り組んでいきたい」と話している。(川本裕司)

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 漢陽寺庭園は「昭和の雪舟」とも呼ばれる作庭家重森三玲(みれい、1896~1975)が手がけた。六つの庭園があり、江戸時代の灌漑(かんがい)用トンネルの水を枯山水と融合させ、巨石を使い、市松模様を採り入れるなどさまざまな様式や主題で造られた庭が一つの寺院で見られる。

 漢陽寺は1374(応安7)年の創建。先代の住職杉村五由(ごゆう)さん(90)が県内を訪れた重森に作庭を依頼し、1969~73年、六つの庭園が造られた。異なる様式の庭が四季折々に違った顔を見せ、水のせせらぎが耳に心地よい。息子の杉村宗一住職(54)は「父は涙ながらに喜んでいる。心が癒やされる場所として、いろんな方が来られて鹿野の活性化につながれば」と話す。

 山門前の「曹源(そうげん)一滴の庭」は鶴と亀を模した巨石を配置。本堂前の「曲水の庭」は、17世紀半ばに掘られた裏山の灌漑用のトンネル「潮音洞(ちょうおんどう)」(県指定文化財)から流れる水を枯山水の中に引いた。仙人が住むという古代中国の山を模した「蓬萊山(ほうらいさん)池庭」、仏教の宇宙観を表した「九山八海(くせんはっかい)の庭」にもその水を使う。

 七つの石を据えた枯山水の中庭「地蔵遊化(ゆうげ)の庭」は地蔵菩薩(ぼさつ)と子どもたちとの触れ合いを表現。モダンアートを思わせる斬新なデザインの「瀟湘(しょうしょう)八景の庭」は市松模様の中に赤砂、白砂、サツキの刈り込みを交互に植えた。

 県内の国登録記念物(名勝地関係)はこれで4件目。この庭園に関する冊子をつくった「鹿野おもてなし塾」の岩田純さん(47)は「登録は感無量。これを機に庭園を知っていただき、ゆっくり見ていただければ」と喜んだ。(垣花昌弘)