2%目標と永久緩和、敗戦確実でも降伏しない黒田日銀

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編集委員・原真人
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 日本銀行の黒田東彦総裁が18日夕、定例記者会見を開いて当面の金融政策について説明した。会見の中身は、会見前の18日昼ごろに配信した私のデジタル版観戦ガイド「また今日も? 日銀総裁『壊れたテープレコーダー』会見」で予想した通りの結果だった。どんな質問であっても答弁は「物価安定目標の2%をめざして大規模な緩和を当分続けていく。それに尽きる」といった、いくつかの決まり文句を繰り返すだけなのである。

 ただ今回の会見には前回までとは異なる要素があった。米国の中央銀行、FRB(連邦準備制度理事会)の影がちらついていたことだ。FRBは16日に開いたFOMC(連邦公開市場委員会)、つまり日銀の金融政策決定会合のような会議で、2023年にもゼロ金利政策を解除する方向性を強く示していた。

 新型コロナウイルスパンデミック(世界的な感染拡大)を受けて、日米欧の中央銀行は同じ方向を向いてあらん限りの緩和策を繰り出した。それはパンデミック前にすでに「永久緩和のわな」にはまって抜け出せなくなっていた黒田日銀にとって、渡りに船だった。八方ふさがり状態が目立たなくなるからだ。

 FRBが政策の正常化に向けてゆっくりと動き出したことで、黒田総裁は内心穏やかではなくなっているはずだ。再び、日銀だけが「異常な緩和の世界」に取り残される可能性が出てきたからだ。

これまでの説明との矛盾点は?

 この日の記者会見で、日米の金融政策に差が出てきたことについて質問された黒田総裁は、努めて冷静に状況を説明した。

 「欧米の中央銀行と日銀の金融政策はコロナ禍のなかではよく似ていた。ただ日本の場合はコロナが広がる前から物価上昇率が2%に達していなかった。コロナが収束したあとも2%をめざして大規模緩和を当分続ける必要がある」

 「日米の金融政策が違ってきてもおかしくない。それぞれの国の金融政策はそれぞれの経済、物価、金融情勢に合わせておこなわれる」

 日米の政策ベクトルがいよいよ別方向に向き始めると、黒田総裁もこう答えざるをえない。だが同時に、これまでの説明との矛盾点も浮かび上がる。

 総裁はこれまで2%物価目標にこだわる理由に「米欧中央銀行が採用するグローバルスタンダード」である点をあげてきた。いま、日米欧の経済は景気回復のスピードも違えばもともとの物価水準も違う、それが当然だ、と言うなら、物価目標の水準だって違っていて当然ではないか。

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