「遊びではなく、本気」 教育現場で広がるeスポーツ

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編集委員・中小路徹
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 ワイワイガヤガヤとした授業。

 東京都渋谷区にある通信制ルネサンス高校の東京のキャンパス。教室をのぞくと、生徒たちがパソコンと向き合っていた。

 この学校には、オンラインの対戦型ゲームで競うeスポーツの履修コースを採り入れており、ちょうど、「ゲーム実践」という科目の最中だった。

 五人一組でプレーする陣取り合戦「リーグ・オブ・レジェンド」に、黙々とした雰囲気ではなく、間断なく話をしながら取り組む。

 生徒相談部の松崎寛さんが説明してくれた。「自分一人がうまくても、勝てない。相手の動きに応じてどんな手段をとるか、仲間同士でコミュニケーションをとっています」

 モニターを見ながら、講師と盛んにやりとりしている生徒もいる。ゲーム上でとった行動が正しかったのかどうか、意見交換しながら振り返る。実際のスポーツ選手が自身のプレー映像を見返すのと同じだ。

 同高がeスポーツコースを開講したのは2018年。大阪のキャンパスで先行して始まった。19年度にできた東京では、今年度、3年生10人、2年生30人、1年生60人の計100人が学ぶ。年々定員を増やしているが、すぐに埋まるという。

 遊びのイメージが強いゲームに、どんな効果が期待できるのか。

 コースを受講する生徒の8割以上が、中学での不登校経験者だ。多くが昼夜逆転の生活の中、あてもなくゲームで時間をつぶしていた。

 「保護者は、どうにかして元の生活に戻ってもらいたいと願うもの」と松崎さん。そこで、好きなことで学校に足を向けてもらう。ゲームという「共通言語」がある友人と出会い、家にこもるより楽しいと思ってもらう。同校のeスポーツコース開講の狙いだ。

 授業には英語もある。

 「調子はどう?」「新しいゲームは買った?」

 取材に訪れた日は、海外プレーヤーと対戦する際、ゲーム上のチャットで多用するフレーズを復唱していた。ゲームをきっかけに英語に親しんでもらう目的だ。

 その他、プログラミングや動画編集、パソコントラブルの解決方法などを学ぶ科目もある。

 3年生の工藤充朝(みつあさ)さんは、昨年度の全国高校eスポーツ選手権で同校がベスト4に入ったメンバー。中学は1年時の夏からほとんど通えなかったという。

 同校に入学してからは、週2日の登校を欠かさないようになった。「ここに来れば友人と話が合うし、仲良くなれる」

 ルネサンス高校のeスポーツコースで学ぶには、普通科の通信コースの履修も必須になっている。普通科で課されるリポートを期限内に提出しないと、登校してもゲーム機に触ることができない。ゲーム依存を防ぐためのルールだ。

 eスポーツは、パソコンの性能によって映像の美しさやスピード感に違いが出るので、キャンパスに備えられた高性能の機器に触れられないのは、生徒たちにとって死活問題。それだけにリポートの提出率は100%に近いという。

 「eスポーツ大会の運営とか、ゲーム関係の仕事で働けたら」。工藤さんは、そんな将来を思い浮かべている。

 eスポーツを教育現場に採り入れる動きは、高校の部活動にも広がっている。

 茨城県立東海高のコンピュー…

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