孤独を通して3億年 嫌われ者8本足に学ぶ人生の選択肢

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勝田敏彦
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 「クモは好き?」と問われると大抵の人は「いいえ」と答えるだろう。だが長年研究してきた京都女子大(京都市)の中田兼介教授は、3億年以上前に現れたこの嫌われ者を知ることは、現代的な意味があるという。どういうことなのか。(勝田敏彦)

 梅雨の晴れ間に、大阪府島本町にある中田さんの自宅に伺った。クモと一緒の写真を撮るためだ。「今の季節、まだ大きくなってないクモが多くて」と言われていた通り、家や近所の神社を見回しても、なかなかクモに気づかない。

 だが中田さんは「ここにも」「そこにも」と指をどんどん指す。よく見ると、指先よりもずっと小さなクモが網を張っている。カメラ担当の同僚が「よく見つけられますね」と不思議がった。「餅は餅屋ですから」と中田さんは照れながら言った。

 でも、もともとはクモが専門の餅屋ではなかった。

 アリがどうやって社会を作り、運営していくのかを5年間研究していた。働きアリは自分では卵を産まず、子孫を残すのを女王アリに任せる。そんなアリの社会の進化は古典的なダーウィンの進化論では説明できず、謎でもあった。こうした社会性昆虫の生活は人間にも通じるところがあって発見も多く、研究テーマとしては花形だ。博士論文はこれで書いた。

 だが転機が訪れる。

 「アリの研究が一段落ついて…

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