後継者問題で忖度か 最高指導者のまな弟子、勝利の内幕

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 イランの次期大統領に保守強硬派のエブラヒム・ライシ司法長官が圧倒的な大差で選ばれた。対立候補が「不在」となった異例の選挙の背景には、イスラム法学者が統治するというイラン独自の体制を守りたい、最高指導者周辺の思惑がありそうだ。(テヘラン=飯島健太

 イランで行われた4年に1度の大統領選。今回は候補者が出そろった時点で、黒いターバンを巻くライシ師の当選が確実視された。

 最高指導者ハメネイ師も着用する黒色のターバンはイスラム教の預言者ムハンマドの血筋を引くイスラム法学者であることの証しとされる。

 「血統」と司法長官としての知名度、さらに有力な対立候補の不在がライシ師の初当選を決定的にした。

 候補者を事前審査する護憲評議会は5月、ライシ師など反米路線の保守強硬派5人と自由の拡大を訴える改革派2人の計7人の立候補を認めた。ライシ師以外は知名度が低く、ロハニ大統領と近い保守穏健派の有力者などは排除された。

 さらに、投票2日前にはライシ師と同じ保守強硬派2人が立候補を辞退。票が分散される事態はほとんど回避された。

 護憲評議会は、メンバーの人選にハメネイ師の意向が強く反映される仕組み。そのため今回はハメネイ師の思惑を忖度(そんたく)し、ライシ師が当選できるよう仕組まれたとの指摘が地元メディアの記者からも聞こえる。

 ハメネイ師は来月で82歳。次期大統領は後継者問題に直面する可能性がある。ハメネイ師のまな弟子のようなライシ師は後継者の一人とも目されてきた。

 ライシ師は1960年、ハメネイ師と同郷の北東部マシュハド生まれ。中部コムでイスラムを学び、幼い頃に亡くした父親と同じイスラム法学者の道に進んだ。18歳で革命を経験後、司法界に身を置いた。テヘラン州副検事長だった88年、反体制派に対する大量処刑があり、関与したとされる。

 ライシ師は前回2017年の大統領選に立候補したが得票率は38%にとどまり、57%を獲得したロハニ師に敗れた。ロハニ政権は1期目が始まった13年以来、米国などと核合意を結び、制裁緩和を実現させるなど実績を重ねた。経済はいったん回復基調となり、中間層や若者、無党派層投票率を73%まで押し上げ、保守層はロハニ師の再選を拒めなかった。

 ロハニ政権は2期8年の間に対米融和を進め、自由の拡大を志向する改革派の支持も受けてきた。

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