一人飲み、同居家族飲みの効果は? 「客かなり減った」

新型コロナウイルス

猪瀬明博、贄川俊
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 埼玉県が独自の新型コロナウイルス対策として「まん延防止等重点措置」の適用区域外の飲食店に求めた「一人飲み」や「同居家族飲み」に限った酒類提供。「客に家族かどうかを確認するのは難しい」などと実効性を疑問視する声もあったが、飲食店関係者はその影響の大きさを口にする。

 6月中旬、上尾市のJR上尾駅近くにある洋風バル「北の国バル上尾店」の入り口脇には、大きな文字で「お一人様または同居家族の方のみにアルコール提供いたします」と書かれた黒板が置かれていた。平日の午後7時半過ぎ、店内は4人掛けテーブルが11ある広さだが、客は夫婦とみられる3組と女性1人の7人だけだった。

 県は4月28日から、適用区域の15市町の飲食店に酒類提供の終日自粛を求めている一方、区域外の上尾市など48市町村には、酒類を提供してもいいが、1人客や同居家族の客に限り、午後8時までとするよう求めている。同店の対応はこの要請に沿った形だ。

 「仕事帰りのグループが多かったので客数はかなり減った」。こう話すのは店長の川瀬公男さん(43)。グループ客には、家族でなければ酒を出せないと声をかけていたため、当初はほぼ毎日のように入店を諦める客がいたという。

 年初からの緊急事態宣言でコロナ前の1~2割に落ち込んだ客足は、3月下旬の解除で3割まで回復したが、「一人飲み」「同居家族飲み」に限った要請で再び遠のいた。客のほとんどが1人か夫婦になったという。家賃の支払いなどがあり、協力金をもらっても、赤字の状態が続いている。

 川瀬さんは「声かけしない店に少しは流れたかもしれないが、結局は外で酒を飲む人自体が減った気がする」と言う。

 同じく区域外の一つ、熊谷市のJR熊谷駅近くにあるイタリア料理店「トラットリア カンナバーロ」のオーナーシェフ大川瞬さん(39)は「21日から制限が緩和され、一息つけそうです」とほっとした表情を見せる。

 店内は4人掛けのテーブル席が三つ、カウンター席が六つとこぢんまり。客層は家族連れやカップルが中心だったため、1人客と同居家族に限られた酒類提供は、売り上げに大きく響いた。

 複数で来店する客に「ご家族ですか」と間柄を尋ねてきた。その結果、特に措置が始まって間もない大型連休中には相当数の入店を断らざるを得なかった。ぎすぎすした雰囲気になることが多く、「もう来てくれないだろうな」と思った客はかなりいたという。

 釈然としないのは「多くのお客さまが制限を知らなかったこと」と大川さん。重点措置は外出を控えてもらうという面があるのに、利用者側に周知されていないと感じる。「もっと広く理解してもらうよう努めてほしい」と政府や県に注文をつける。

 コロナ前を100とすると、4月の売り上げは常連客らが応援してくれたこともあって80だったが、5月は60。今月は50を割り込みそうだという。協力金に助けられているのが現状だ。

 21日以降も続くに違いない悩みの種が、飲食業界の厳しい状況に伴う運転代行の減車傾向だ。車で来店した客は飲酒すれば、「代行」を利用する。台数が少なくなっているうえに、どうしても営業終了の午後9時前後に依頼が集中するため、手配から到着まで時間がかかるようになった。

 代行が閉店時間になっても来てくれず、客に店外で待ってもらうこともしばしば。「楽しい時間をともにしたお客さまに『決まりだから』と出て行ってもらうのは本当につらいです」

 今春以降、県全体の新規感染者数は5月中旬をピーク期に減る傾向にある。独自策の効き目について、大野元裕知事は「区域外でも明確に感染者数が下がっている結果が出ている。やはり効果があったと思う」と強調する。

 21日以降、県内の適用区域と酒類提供の自粛要請は縮小・緩和される。適用が続くさいたま、川口両市では「一人飲み」「同居家族飲み」が採用され、区域外となる61市町村では「同居家族」「1グループ4人以下」の酒類提供となる。(猪瀬明博、贄川俊

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