事前に落とされた有力候補 大統領選で見えた権力の思惑

有料会員記事イラン大統領選2021

聞き手・荒ちひろ
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 18日に実施されたイラン大統領選で、イスラム法学者で保守強硬派のライシ司法長官(60)が当選した。事前審査で有力な対立候補が落とされ、一貫してライシ師優位とされた大統領選挙を、専門家はどう見るのか。核合意など今後の外交方針の行方は……。在イラン日本大使館で勤務した経験もある文京学院大の貫井(ぬきい)万里・准教授(イラン政治)に聞いた。

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 事前審査の段階で、ライシ師を勝利させ、高齢の最高指導者ハメネイ師の後継としてスムーズに権力移行をさせたいという思惑が明らかだった。体制側はここ数年、ポスト・ハメネイ体制に向け、革命防衛隊の指導者らの世代交代を進めるなど着々と準備をしてきた。大統領選はその総仕上げ的な印象がある。

 5月に護憲評議会が「低投票率でも合法だ」と発言していたことからも、投票率が40%台くらいまで下がることは覚悟していただろう。むしろ、体制側は投票率が上がって決選投票に持ち込まれたり、穏健派候補がある程度得票して2009年の選挙後に投票をめぐる不正の訴えから広がった「緑の運動」のような抗議活動や革命防衛隊による鎮圧に結びついたりする事態は、なんとしてでも避けたかったのではないか。

 米国による制裁で、イラン経済は非常に悪化している。ハメネイ師は、ライシ政権下で制裁解除を実現させ、経済を改善させることで国民の支持を固め、イスラム体制を盤石にしたいと願っているだろう。

 一方で、国際的なルールをど…

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