棚田の農作業、負担軽減に リモコン草刈り機がお披露目

坂田達郎
【動画】農作業の負担軽減へ リモコン草刈り機お披露目=坂田達郎撮影
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 傾斜地に階段状に広がる棚田は日本の原風景とも言われ、見る人を引きつける。一方、その複雑な地形から草刈りをする農家の負担は重い。少しでもその助けにならないかと、山形県大蔵村の「四ケ村(しかむら)の棚田」で遠隔操作ができる草刈り機の実演会があった。

 四ケ村は豊牧(とよまき)、滝の沢、沼の台、平林の4集落の総称。鳥海山や月山を望む約120ヘクタール、約1900枚の棚田は「日本の棚田百選」の一つだ。2019年8月に施行された棚田地域振興法に基づく国の「指定棚田地域」でもある。

 「棚田で大変なのは畦畔(けいはん)管理」と村の担当者は話す。畦畔とは田と田の間を仕切り、水が外に漏れないようにつくられた盛り土部分。棚田は畦畔が多くなり、雑草を放置すると稲の病気や虫が発生する。「除草剤を使うと畦畔が弱くなり、大雨などで崩れやすくなってしまう」という。

 そこで、地元の棚田地域振興協議会がリモートコントロールによる草刈り機を購入し、13日に農家の人たちを招いて実演会を開いた。

 販売元の担当者が、最大斜度50度まで使用でき、手に持った機械で草を刈る約15人分の能力があると説明。手元のコントローラーを操作しながら、雑草が生い茂る斜面を走らせた。

 クローラー(無限軌道)がついた草刈り機は、草に隠れてしまうような場所でも刈り進んでいく。その様子を参加者は熱心に見つめた。ただ、斜面を真っすぐ上り下りすると滑り落ちる危険性があるため、前進と後進を繰り返す「スイッチバック」で刈るなどの注意点も示された。

 草刈り機を動かした地元の中島秀幸さん(45)は「草刈りが楽になるならこういう機械は良い。場所によっては動かなかったが、経験して覚えるしかない」。実演を見つめた長南正一さん(72)は「リモコン草刈り機は安定性があって性能も良い」としながらも、「対応できない場所があった。安全に使えるかどうかもきちんと確かめながら、効果的に使っていく必要がある」と話した。

 村に申請すれば1日2千円、半日千円で借りられる。燃料は満タンにして返すのが条件だ。重量は480キロあるため、軽トラックでは運べないという。村の担当者は「農家の人たちは高齢化し、休耕田は増える傾向にある。棚田の農作業を少しでも楽にし、地域づくりに前向きになれるようにしていきたい」と話す。

 村では昨年9月に「第26回全国棚田サミット」が予定されていたが、コロナ禍のため延期に。今年も収束は見通せず、中止の公算が大きくなっている。(坂田達郎)