江戸城修築の木材搬出絵図が林業遺産に 高崎

角津栄一
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 林業発展の歴史を伝える古文書や道具などを認定する「林業遺産」に、江戸城修築のためにケヤキの大木を切り出して運ぶ様子を描いた「川浦山御用木御伐出絵図(かわうらやまごようぼくおきりだしえず)」(群馬県高崎市重要文化財)が選ばれた。

 林業遺産を認定している日本森林学会によると、絵図は幅約30センチ、長さ約10メートルの色彩画。1990年に高崎市の重文に指定された。

 天保5(1834)年から、江戸城修築の用材として、現在の高崎市倉渕町の川浦山御林(おはやし)(幕府直轄林)からケヤキを伐採し、烏川を利用して搬出するまでが彩色豊かに描かれている。烏川に流された用材は、現在の高崎市新町付近でいかだに組まれ、利根川を経由して江戸まで運ばれた。

 選定理由として、学会は「巨木の伐採から河川を利用した木材運搬まで描かれ、近世幕藩体制における林業の様子を伝える貴重な史料」と説明している。

 林業遺産選定に向けて、学会への申請手続きをした烏川流域森林組合の市川平治組合長(73)は、2006年に高崎市に編入合併された旧倉渕村の村長を務め、絵図の史料価値に注目し保存に取り組んできた。

 市川さんは「この地域は、山の恵みを利用して生活を営み、森とともに生きてきた。絵図は、江戸城の御用木を倉渕から出したという歴史的事実を伝える大切な史料だ」と話している。

 絵図の原本は個人所有で、複製品が市教育委員会で保管されている。市川さんは、複製品を一般公開して、広く、倉渕地域の林業の歴史や林業技術を知ってもらう機会にしたいと考えている。(角津栄一)