満州で出会った父と絵本画家・赤羽末吉 石子順さん語る

編集委員・北野隆一
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 漫画評論家の石子順(いしこじゅん)さん(85)が20日、東京都中央区銀座の書店・教文館で「赤羽末吉(あかばすえきち)と石河潔(いしこきよし)のこと――『満州』を生きた二人」の題で講演した。「スーホの白い馬」で知られる絵本画家・赤羽さんの作品を展示する「生誕111年 赤羽末吉展」関連の催しとして企画された。

 赤羽さんは1932年に旧満州中国東北部)へ渡った。石河潔さんは息子の石子さんを伴い満州へ。45年の日本敗戦後も、赤羽さんは画家として、石河さんは日本人向け新聞編集長として、中国側の求めで残留。石河さんが執筆した童話集に赤羽さんが挿絵を描いて現地で出版した。

 赤羽さんは47年に帰国後、中国や日本の民話を紹介する絵本を多く出した。父の石河さんを亡くした後、53年に帰国した石子さんは、ちばてつやさん、赤塚不二夫さん(故人)らとともに95年に「中国引揚げ漫画家の会」を結成。戦争や引き揚げ体験を語り継ぐ活動を続ける。

 石子さんは講演で、赤羽さんが生前述べたという「絵本を描いて平和な世界を生み、子どもの心に灯をともし続ける。それが戦争の時代に大人だった者の責任」との言葉を紹介した。

 展覧会は30日まで教文館で。練馬区石神井の「ちひろ美術館・東京」でも、9月26日まで赤羽さんの作品展が開かれている。(編集委員・北野隆一