第1回注ぎ込んだヒト・モノ・カネ コロナ禍、中国の光と影

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北京=平井良和
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中国共産党100年「強国」の現在地① デザイン・川添寿
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 6月初旬、夕闇に包まれ始めた北京市郊外。経済開発区を流れる川のほとりに建設中のビルのあちこちで溶接作業の火花がはじけ、闇を裂く。道路に面した正面側だけでも同時に10本近くのクレーンが伸び、作業員たちがせわしなく動き回っていた。

 「108号棟」。そう呼ばれるこのビルは、国有製薬会社「中国医薬集団」(シノファーム)傘下のワクチン製造企業「中国生物技術」の工場だ。完成すれば同社にとって北京で3カ所目の新型コロナウイルスワクチン生産工場となり、年間10億回超分の生産を担う。

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北京市郊外で建設が進むワクチン生産工場「108号棟」=2021年6月2日、北京市、平井良和撮影

 3月に本格的な工事が始まり、現場には「党への誕生日プレゼント」との横断幕が掲げられた。誕生日とは、中国共産党が結党100年を迎える7月1日を指す。500人以上の作業員が24時間態勢で作業を続け、100日余りで落成させる計画だ。作業員は「絶対に間に合わせる。ワクチンはまだまだ足りないんだから」と語った。

 多大なコストがかかり、高い安全性も求められるワクチン開発は企業にとってリスクを伴う。日本では政府の支援も限定的になり、開発は後手に回った。

中国共産党の結党から100年。連載「『強国』の現在地」は、世界の盟主の座を見すえ、米国との覇権争いに挑む共産党の力の源泉や、待ち受ける課題を探ります。連載の第1回はワクチンをめぐって中国政府がどう動いたかを描きます。

言い切った「採算の心配はいらない」

 一方、中国政府は、研究開発…

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