磁力や圧力でひんやり新物質 京大など研究チームが発見

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竹野内崇宏
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 磁石を近付けたり、圧力を弱めたりするだけでひんやりと温度が下がる――。そんな珍しい物質を京都大学などの研究チームが発見した。環境に優しく、サイズも小さいエアコンや冷蔵庫の実現につながるかもしれない。21日、米科学誌サイエンティフィック・リポーツに発表した。

 地球温暖化による冷房の需要拡大や、情報社会を支えるコンピューターの発熱量増加に伴い、現在、世界で消費される電力の3割近くが、物を冷やすことに使われているとされる。

 現在の冷蔵庫やエアコンの冷却方式は、「冷媒」と呼ばれる液体が、気体に変化する際に、周囲から熱を吸収する性質を利用するものが一般的だ。

 ただ、気体を圧縮して液体に戻すための装置「コンプレッサー」がかさばったり、フロンなど冷媒に使う物質の環境負荷が問題になったりすることもあり、省スペースで環境に優しい、新たな冷却技術の開発が課題になっている。

 そこで、京大大学院生の小杉佳久さんらの研究チームは、固体のままで多量の熱を吸収できる物質がないかを探してきた。液体や気体への変化がなければ、冷却装置の小型化が期待できるからだ。

 チームが着目したのは、銅やクロム、ビスマスなどの元素を混ぜて焼き固めた黒色のセラミックス材料だ。それぞれの原子が立体的に整然と並んだ「ペロブスカイト」という結晶構造を持つのが特徴だ。

 チームはこの材料を数ミリ大のペレットや粉末にして、詳しく調べた。徐々に冷やして零下83度以下にすると、見た目や体積はほぼ変化がないのに、突然、磁石としての性質を示し始めた。

 材料中の電子の状態が変化し、液体や気体に変わる「相転移」に匹敵する変化が、固体のまま内部で起きていることがわかった。

 チームは、この変化を応用すれば、冷却に使えるとみて実験を進めた。

 この材料を装置に入れ、零下83度前後で強い磁場をかけたところ、磁場の強さに応じて材料の温度を数度下げられることがわかった。磁場で材料内の電磁気的な性質が変化し、周囲から熱を吸収する性質を持つことが明らかになった。

 さらに、この材料に圧力をかけて温度が変わるかも調べた。材料に高圧をかけると固体のまま温度が数度上昇し、圧力を弱めれば温度ももとに戻る性質を示した。圧力を変化させることでもこの材料を使った冷却が期待できるとわかった。

 磁場や圧力変化などを使って…

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