経済界は「原発推し」かと… 能條桃子さんも驚いた

有料会員記事

伊藤弘毅
[PR]

 国内の主要企業100社を対象に毎年2回実施している朝日新聞のアンケートで、今春は国内・世界の景況感に加え、「社会の脱炭素化」や「ジェンダー平等」も主なテーマに加えた。こうした問題に関心を寄せつつ、若者の政治参加を促す団体の代表理事を務めている慶応大学院生の能條桃子さんに、100社の調査結果への感想を聞いた。

2年前では考えられない状況

――菅政権が昨年秋に表明した「2050年に温室効果ガス排出を実質ゼロ」という目標について、83社が「評価する」と回答しました。

 「意外でした。もっと批判的だったり、後ろ向きだったりする意見が出てくると思っていたので。社会の脱炭素化に向けた議論が日本でも非常に前向きに進み、いまや『社会の常識』になってしまったかのような感じすらします。私が気候変動に危機感を持ち、活動を始めた2年前には、考えられなかった状況です」

能條桃子さんの略歴

のうじょう・ももこ 1998年生まれ。神奈川県平塚市出身。慶応大在学中に経験したデンマーク留学などをきっかけに、2019年に若者の政治参加を促す団体「NO YOUTH NO JAPAN」を設立。現在は慶応大学の大学院で学びつつ、団体の代表理事を務め、気候変動ジェンダー平等などの社会問題についてSNSなどで意見を発している。

――「50年ゼロ」「30年度に13年度比で46%減」という二つの政府目標を自社で達成できるかを聞いたところ、それぞれ半数以上が「十分達成可能」または「達成できる可能性が高い」と答えました。

 「実際に脱炭素社会を実現するのは簡単ではないと思います。エネルギー系など二酸化炭素排出量の多い企業での目標達成は、まだ実用化されていない新技術や排出量取引などの新制度を使った道筋が予想されていて、実際の実現がどこまで信じられるのかはわかりません。ともあれ、目指す方向性は共有されてきているようです。ようやく変化の兆しが見えてきました」

――脱炭素化に対する菅政権の姿勢をどう評価しますか。

 「『50年ゼロ』を示した時期は遅すぎたと思ってはいますが、まずは目標を打ち出したことを評価したい。『13年度比で46%減』という30年度時点の目標も、それまでの数値を大幅に引き上げたことを評価しています。温暖化対策の国際ルールであるパリ協定で示された『世界の平均気温上昇を1・5度未満に』という目標を達成するためには、30年度でこの水準に甘んじていいのか疑問ではあります。ただ、『政治判断で、社会や企業も動いていくんだ』と実感した出来事でした」

――脱炭素に「後ろ向きだ」と国際社会から批判されてきた日本に、なぜ変化が訪れたのでしょう。

 「脱炭素化を巡る世界的な流れに対応できないと『欧州などでビジネスができなくなる』という危機感からではないでしょうか。自然保護や海面上昇による島国の人命の危機など、将来世代のことを考えた上での倫理的な経営判断ではなく、日本企業が生き残るために『世界』に言われて仕方なく受け入れただけなのかもしれません。どういう動機であれ行動することが大事だと思いますが、むずがゆさのようなものも感じます」

「経済界は原発推し」という思い込み

――脱炭素に向けて重視する電源(二つまで)を聞くと、83社が「再生可能エネルギー」をあげ、「原発」は計11社。原発の「新設・建て替え」を選んだのは2社だけです。複数回答可でこの結果は、担当者としても驚きでした。

 「全く同感です。エネルギー政策を議論する政府の有識者会議などで出てくる経済界の意見は『原発推進』が多く、私も『経済界は原発推しなのかな』と思っていました。実際には原発に利権がある一部企業が『必要だ』と言っているだけなのかもしれません。私自身、『核のごみ』の処分方法が確立されていないのに原発を使い続けるべきではないと思っています」

■夫婦別姓「20~30代の意…

この記事は有料会員記事です。残り1190文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【10/25まで】スタンダードコース(月額1,980円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら