災害時に増す個人責任論 芥川賞・小山田浩子さんの危惧

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聞き手・岡田将平 岡田将平
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西日本豪雨3年 作家・小山田さんに聞く

 広島、岡山など14府県で死者・行方不明者が300人以上(関連死を含む)となった2018年の西日本豪雨から7月6日で3年を迎える。広島市在住の芥川賞作家、小山田浩子さん(37)は4月に出版した短編集「小島」(新潮社)の表題作で、豪雨被災地のボランティアを題材にした。地元で起きた災害とどう向き合ったのか、オンラインインタビューで聞いた。

 《2018年7月6日、広島市在住の小山田さんの身近な場所も豪雨に襲われた》

 あの日は朝から強い雨の日だなと思っていたら、昼過ぎくらいから真っ暗になって、尋常じゃないと思いました。保育園に子どもを迎えに外へ出ると、側溝に道路と同じくらいの高さの水がたまっていました。川が徒歩圏内にあり、山も近いので、怖かったです。

 私が住んでいるところは大きな被害はありませんでしたが、報道で、JR瀬野駅(広島市安芸区)に土砂や流木が流れ込んでいるのを見ました。私は広島大に通っている頃、家庭教師のアルバイトをしていて、瀬野駅で降り、生徒のところに通った時期がありました。被災前の改札や線路のイメージが映像と重ならなくて、信じられなくて。

 すごく驚いて不安に思っていたら、新聞記者からルポの依頼があり、被災から20日くらいたった時、瀬野駅などを回ったんです。がれきや土砂が積んでありました。砂ぼこりもすごかった。

 被害がひどいところからちょっと離れると無傷に見えるところもありました。私は災害の被害や復興の度合いはグラデーション状になっているものだと思っていましたが、実際はモザイク状でした。ひどいところとそうでないところが隣り合っている、そのことにビックリしました。それが印象的で、小説を書くときのイメージのもとになりました。

 現場を見てもどうすることもできず申し訳ないと感じました。その際、被災者の人がボランティアが足りないと記者に訴えているのを耳にしました。その後、被災地に行くボランティアバスがあると知りました。

ボランティアで手渡された「何か」

 東日本大震災熊本地震の時もボランティアに行けたらと思ったのですが、「自分が行っても邪魔だ」と思っていました。でも、西日本豪雨は、地元っていうのがすごく大きかったですね。「行けるんならちょっとでも」という気持ちになりました。

 《小山田さんはボランティアバスに乗って2回、被災地に行ったという》

 最初に行った時は、民家の周…

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