五輪初戦まで1カ月のなでしこJ 注目は滑り込んだ新星

勝見壮史
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 東京オリンピック(五輪)サッカー日本女子代表(なでしこジャパン)は、大会1次リーグ初戦まで1カ月となった21日、千葉市内で始動した。東京五輪の開会式に先立って行われるカナダ戦は7月21日に札幌市である。今月18日に発表された18人の代表メンバーで注目の一人が、最後に滑り込んだ23歳の塩越柚歩(ゆずほ)だ。

 「自分は正直、ここまでこられると思っていなかった。名前が呼ばれた瞬間はすごくびっくりしました」

 五輪のメンバー発表記者会見翌日の19日、塩越は、所属する三菱重工浦和レッズレディースのプレシーズンマッチ後に行われた壮行会で、ファンに向かってそう語った。

 確かに、大会の1年延期がなければ、塩越の五輪代表入りはなかった。初めて代表の候補合宿に呼ばれたのは昨秋。なでしこリーグ1部の浦和での活躍が評価された。

 速い動きの中でも球を正確に扱える技術力に加え、シュートに力もある。身長166センチ。日本に多い小柄なテクニシャンとは違うタイプだ。高倉麻子監督は「ボールを持ったときの瞬間的なスピードや、ゴール前に入っていくパワーは、海外でも通用するかなと感じた」。

 課題は、積極性に欠けること。塩越本人も「性格的に自分から、ガツガツ行くようなタイプではない」。当初は実力者がそろう代表で力を発揮できなかった。今年4月の親善試合2試合では出番はなかった。

 最終選考の場となった6月の活動では、10日のウクライナ戦で主力に交じって先発した。「試されているのは分かった」。思い切っていけと高倉監督にも背中を押され、気後れせずにどんどんゴール前へ入っていった。

 前半5分、左からのパスを右足で決めて先取点。同41分には、ゴール前のこぼれ球を思い切りのいい右足シュートで決めた。

 試合は格下相手に8―0。それでも、代表デビュー戦での2ゴールは、アピールには十分だった。自信とともに、五輪代表の座をつかみ取った。

 実は、高倉監督がなでしこジャパンと一時兼任して率いていた20歳以下(U20)日本代表で、ともに2016年U20ワールドカップを戦っている。日本は3位になったが、塩越はほとんど出番なし。大会後、「高倉チルドレン」は次々に代表入りした。その仲間に、ようやく追いついた。

 「ナイス、ユズホ!」。始動日となった21日、練習の終盤にあったミニゲームで、パスをもらおうと動きまわる塩越にコーチから声がかかった。主力にも遠慮せず、パスを求める姿があった。

 壮行会で、ファンに向かって、こう宣言していた。「選出されたことに満足せず、ここがスタートだという気持ちで、日本を代表する選手として、覚悟と自信と誇りを持って、全力でプレーしていきたい」(勝見壮史)