宣言解除の福岡、1カ月ぶり祝杯 延長の沖縄、苦境続く

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山崎毅朗 山田佳奈
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 1カ月以上にわたり出されていた新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が、福岡県でも解除された。県の要請を受けて休業していた飲食店は、21日からのまん延防止等重点措置による制限付きながら、酒類の提供を含めた営業を再開した。全国で唯一宣言が延長された沖縄県の店では、なおも苦境が続く。

 福岡市博多区居酒屋「九州郷土料理わらび」は21日夕、営業を再開した。久しぶりに店を訪れた常連客らがビールで乾杯。同市早良区から夫婦で訪れた大黒水浪(みなみ)さん(66)は「15年ほど通っていて、つぶれてほしくない店。応援したくて来た」と話した。

 店は、福岡県緊急事態宣言が出された5月12日以降、休業要請に従い店を閉めていた。厨房(ちゅうぼう)で忙しく調理に追われていた店主の平野康弘さん(53)は、店を再開した理由を「売り上げというより、常連のお客さんとの接点をなくさないため」と語る。

 オフィスビルが立ち並ぶ博多駅前で2002年に開店し、宴会が売り上げの柱だった。だが、新型コロナの感染拡大で20年の売り上げは前年の3分の1。平野さんは「大人数の飲み会ができない状況が続くなら、先行きは厳しい」と話す。

 再開したとはいえ、まん延防止等重点措置に移行し、福岡市内では酒の提供が午後7時まで、営業は午後8時まで。こうした制限下では十分な売り上げは見込めないと感じている。喜びと不安が入り交じるなかでの営業再開となった。

「従業員守るため」休業要請応じず 助成だけでは・・・

 一方、福岡市中央区の繁華街・大名にある居酒屋「魚喜(うき)」は、緊急事態宣言中も休業要請に応じず、営業を続けてきた。

 今年3月にオープンしたばかりの店だ。内藤一樹代表(36)は「従業員を守るためには営業を続けざるをえないと判断した」。

 福岡県緊急事態宣言での休業要請を受け入れた中小飲食業者に対し、原則19年か20年の1日あたりの売り上げを基に算出した協力金を、1日あたり4万~10万円支給する。

 過去の実績がない新店の場合、開店日から最初の時短要請開始日の前日までの、1日あたりの売り上げが基準になる。内藤さんが試算すると、協力金は下限の4万円だった。国の雇用調整助成金などをあわせても、店は維持できない。県商工政策課の担当者は「コロナ禍より前に営業していた店と比べて、新しい店の協力金が比較的少なくなることは多い」と認める。

 内藤さんの店がSNSで営業を告知すると、「社会のゴミ」といった誹謗(ひぼう)中傷のメッセージが届き、店内で「自分はコロナにかかっている」と周囲に聞こえるように話す客も来た。

 それでも内藤さんは営業を続けるつもりだ。「社員やバイトの生活がかかっている。行政がしっかり補償してくれないなら、過料を払ってでも営業を続けるしかない」(山崎毅朗)

 那覇市国際通り近くの飲食店「琉宮ダイニング亀千人久茂地店」では、5月23日に緊急事態宣言が出てから夜の営業をやめ、ランチやテイクアウトでしのいできた。城間政彦店長(43)は「少しでも足しにと思うが、売り上げは通常時に遠く及ばない」と話す。

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