容疑者の父「夢ならば覚めてほしい」 袖ケ浦の女性殺害

大宮慎次朗
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 千葉県袖ケ浦市の竹林で、刺し傷がある女性(当時19)の遺体が見つかってから1カ月余り。横浜市緑区のアルバイト夏見翔太容疑者(23)が21日、殺人容疑で逮捕され、事件は急展開を迎えた。2人はSNSを通じて知り合い、事件が起きた日に初めて会ったとみられる。2人の間には何があったのだろうか。

 「夢ならば覚めてほしい。こうなる前に、親としてもっともっと何かできたんじゃないか……」

 横浜市緑区で夏見容疑者と暮らしていた父親(52)が逮捕を受けて21日夕、電話で朝日新聞の取材に応じた。落胆と後悔が入り交じる胸中を打ち明けた。

 父親によると、夏見容疑者は交友関係が広いタイプではないが、「人を助けることに喜びを感じる優しい子」だという。都内の私立大学に進学したが、「自分の居場所がない」と話すようになり、1年も経たずに休みがちに。「お前の居場所は何があってもここだから」。そう言って父親が度々励ましたが、翌年の夏に中退したという。

 2019年春には、パン屋の正社員として働き始めた。だが、帰宅後、自宅リビングで突っ伏したまま、「職場で怒られた」と漏らしたこともあり、10月に退職した。

 20年1月ごろ、出かけたまま突然音信不通になった。部屋に書き置きはなく、複数回送ったLINEにも返信はなかった。

「自分自身の存在が苦しい」とLINE

 3カ月ほど経った頃。「自分自身の存在が苦しい」「消えてしまいたい」。突然、そういった趣旨の返信が返ってきた。

 自宅に戻ってきたのは同年7月。気分転換に登山に連れ出し、「ここからまたやりたいことを少しずつやっていけばいいよ」と声をかけると、先導するように登っていた夏見容疑者は「もう大丈夫だよ」と笑顔を見せたという。

 その後、心のよりどころになれば、と心理学に関する本を数冊渡した。夕食の際などに「SNSで知り合った人の悩みを聞いている」と話し、自宅には「翔太くんと話すことで楽になった」と感謝を伝える手紙が複数回届いたこともあったという。

 秋ごろから、近くのカラオケ店で週4~5回アルバイトを始めたが、特に変わった様子はなかった。「ようやく落ち着いてきたのかなと思っていたのに」

 そんな中、今月1日、神奈川県警に同県青少年保護育成条例違反容疑で逮捕された。逮捕後、刑事施設で数回面会した際には「ごめんなさい」と反省した様子だった。「お父さん、ご飯食べてる?」。気遣う言葉もかけてくれた。

 さらに今回は殺人容疑で逮捕されたが、父親は「(夏見容疑者が)やったことを説明し、事実が明らかになってほしい。帰る場所は残しておく」と話した。(大宮慎次朗)