8世紀の前衛「破墨」とは 領域横断のセッションで考察

田中ゑれ奈
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 「破墨(はぼく)」とは何か。日本美術の文脈では雪舟作の国宝「破墨山水図」で有名な水墨画の技法。だが、8世紀の中国で起こった当初は、パフォーマンスや音楽が混然一体となった前衛的な芸術表現だった。

 「破墨プロジェクト」は日本画家の山下和也を中心に領域を横断する表現者たちが集まり、20世紀の抽象美術にも通じる「破墨」を再構築する試みだ。神戸市の「KOBE STUDIO Y3」で27日まで開催中の「プレ・プレイ」展では、雪舟を師と仰いだ日本抽象絵画の先駆者・長谷川三郎の思想や、長谷川と交流した彫刻家イサム・ノグチの存在に注目。彼らの作品や言葉から着想した造形作品、リモート演劇システムを使ったパフォーマンス映像作品などを展示する。

 会場には、メンバーが創作し自ら興じたゲームの記録が残る。例えば、3人で分担してテープを紙に貼り、切っては並べていく流れ作業。テープの直線は雪舟の絵画表現に通じるものの、行為自体の意味は不明だ。「8世紀の破墨はセッションであり『遊び』に近い。一見、何をしているのかわからない行為の中に美術とつながる要素があり、それを長谷川もノグチも見ていたのでは」と山下は言う。

 Y3(078・222・1003)。YouTubeチャンネル「haboku project」で関連プログラム「オンラインでプレ・プレイ」を公開中。(田中ゑれ奈)