宮城の住民「復興五輪、今は違う」 かすむ理念に落胆

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 沿岸の被災地を巡った聖火リレーが21日、宮城県内の日程を終えた。この3日間、大切な人を失った被災者たちも参加し、沿道からは拍手が送られた。それでもコロナ禍の中にあって、政府が掲げた「復興五輪」の理念はかすむばかりだ。

 初日のスタート地点となった気仙沼市の災害公営住宅に住む70代の男性は、前日の18日、「(原発事故が起きた)福島の人たちの気持ちを思えば、復興したなんていえない」と違和感を口にした。自宅が津波で倒壊し、一人暮らし。「気仙沼も街並みはきれいになったが、人はいないし空き地だらけだ」

 亘理町では、震災による空き地が目立つルートを聖火が走った。青田辰子さん(68)も「五輪が亘理とどうつながるかっていうと、なかなか難しいよね。『復興』って言葉が何を示しているのか」と首をかしげた。

 五輪効果に懐疑的な人もいる。沿道でリレーを見た石巻市の呉服店店長、林広美さん(44)は「五輪でうるおうのは東京。宮城の小さな街は関係ないのでは」と言う。震災後、商店街の活気は少なくなり、インフラが整備されても震災前に戻ったとは思えない。

サンドウイッチマン伊達さん「うーん、でも…」

 猛威を振るう新型コロナウイルスも影を落とす。

 多賀城市でのリレーを見に訪れた自営業、渡辺正明さん(65)は「当初は『復興五輪』と言っていたけど、今は違いますね。新型コロナの影響でぼやけてきた。今はもう、何もなく無事に終わって欲しいという思いです」と話した。

 女川町で聖火をつないだ「東京2020聖火リレー公式アンバサダー」を務めるお笑いコンビ「サンドウイッチマン」の伊達みきおさん(46)は「招致した時に『復興五輪』という名前があったのは確かですし、今はコロナで色んな方向になっていますが……。うーん、でも、(被災地の)沿岸を聖火が走っているのはすてきだなと思うので見て欲しい」と話した。

 名取市で聖火を見守った仙台市宮城野区の小野田二三男さん(70)も「『復興五輪』という言葉もよく聞いたけど、今はコロナ克服という趣旨の方が目立っちゃっているよね。仕方ないことだけど、違和感がある」と話した。

 仙台市宮城野区の男性(62)は「最近テレビや新聞で見るのは、本当に五輪ができるのかというニュースばかり」。最終日のゴール地点となった市陸上競技場で聖火を見届けた。「『復興五輪』という言葉があることも、正直、忘れてしまってた」