分断や差別をどう笑う? 日本人コメディアンの挑戦

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尾崎希海
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 「こんな時こそ笑いが必要だ」。スタンダップコメディアンとしてアメリカで活躍するSaku Yanagawa(サク・ヤナガワ)さん(29)は、自身の歩みと笑いの現在地をつづった『Get Up Stand Up! たたかうために立ち上がれ!』(産業編集センター)でこう語る。分断と不寛容の時代を、コメディアンはどう笑いに変えるのか。

 スタンダップコメディーは、マイク一本で舞台に上がり、話芸を披露する英語圏の芸能だ。じゃあ漫談と同じ? 「スタンダップはネタの切り口が大事。自分の視点で笑いを届けることが求められる」と言う。

 社会や政治から宗教に科学、性に人種、そして差別。コメディアンたちは、日々のなかで感じたありとあらゆる「おかしさ」をとっておきのジョークに変え、客席にぶつける。

 たとえばヒーローという言葉が過剰に使われるアメリカ社会への違和感。「マスクをつけただけでヒーローなら、アジア人はとっくの昔からヒーローだよ」

 話題の多様さは、観客の多様さの裏返しだ。「アメリカではみんな、人種も育ちも価値観もバラバラ。あるあるネタは通じにくく、むしろお互いの違いを笑いあおうという空気がある」。笑いは、敵意がないことを相手に示すコミュニケーションの手段でもある。

「タブーなき笑い」も今は昔

 だがいま、社会は大きな変化…

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