台湾の窓口機関、香港で閉鎖の危機 移住増に中国不満か

台北=石田耕一郎
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 台湾と香港の公的な関係が断絶の危機に直面している。香港政府が台湾の駐香港窓口機関「台北経済文化弁事処」(総領事館に相当)職員のビザ発給や延長を認めず、閉鎖に追いこまれる恐れが出ているためだ。台湾が多くの香港市民に居留許可を出していることに、中国が不満を強めていることも背景にあるとみられる。

 台湾当局によると、弁事処の複数の職員がビザ延長を拒まれ、20日に離任した。職員らが中国の唱える「一つの中国」を認める宣誓を拒んだためとみられる。残る職員1人のビザも来月末に切れるという。

 対中政策を担う行政機関「大陸委員会」の邱太三・主任委員(閣僚)は21日に会見し、「香港政府中国共産党の要求を受けており、香港の『一国二制度』が再び有名無実だと証明された」と批判。一方、中国政府の国務院台湾事務弁公室の馬暁光報道官は「台湾の窓口機関は政治的意図を有して香港を混乱させてきた」と応酬した。

 台湾は香港、マカオと2011年に協定を結び、互いに窓口機関を設けた。しかし、民進党の蔡英文政権の誕生で中台関係が悪化。香港政府は18年7月以降、「一つの中国」を認めない台湾人職員にビザを出さない措置を続けてきた。

 蔡政権は香港の民主化デモを支持し、昨年、1万人超の香港人に居留許可を出した。前年同期の約1・8倍で、今年も4月までに3217人(同1・3倍)だ。中国はこの対応に不満を強めており、香港とマカオ政府も5月以降、台湾に設けた窓口機関の業務停止を相次いで発表していた。

 台湾移住を望む多くの香港人はこれまで、在香港の窓口機関で申請してきた。台湾で暮らす香港人弁護士は「ネットや郵便による申請もあるが、香港政府がネットを遮断する恐れもあり、注視したい」と話す。(台北=石田耕一郎)