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医療的ケア児の居場所へ 岐南に医療型短期入所施設開業

松永佳伸
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 【岐阜】重度の身体、知的障害や医療的ケアを必要とする就学前の子どもを預かる医療型特定短期入所施設「かがやきキャンプ」が、岐南町薬師寺にオープンした。プールの壁に映し出されたゲームで遊びながら体を動かす「デジタルリハビリテーション(デジリハ)」などを採り入れながら、成長と社会参加を目指す。

 地元で12年間、在宅医療専門クリニックを運営する医療法人「かがやき」(市橋亮一理事長)が日本財団の助成で開設。0~6歳で、施設から約8キロ圏内に住む重症の心身障害児と、胃ろうやたんの吸引、人工呼吸器など医療的ケアを必要とする「医療的ケア児」が対象。定員は5人。将来的にはメディカルフィットネスや宿泊を伴う医療型短期入所にも取り組むという。

 かがやきキャンプでは「食べる・寝る・遊ぶ」を「いつでも・どこでも・誰とでも」できることを目標の一つに掲げ、地域での新たな親子の居場所づくりをめざす。施設は木造2階建てで延べ床面積約520平方メートル。保育ルームやフィットネスルーム、リハビリ用プール、宿泊施設などを備える。

 「デジリハ」では、ゲームをしながら重力の少ない水の中で体を動かし、運動不足を補う。体への負担が少ない専用の機器を使ったフィットネスもできるという。

 看護師、理学療法士言語聴覚士、管理栄養士、歯科衛生士などさまざまなスタッフが子どもたちと関わり、一人ひとりに合った取り組みを実践する。

 市橋理事長は「地域に足りないものを補うことを考えてきた。親と子のそれぞれの幸せを考えながら、長い目で子どもの自立を支援していきたい」と話す。

 国会では6月11日、「医療的ケア児」とその家族らの支援を充実させる法案が成立し、秋にも施行される。厚生労働省によると、「医療的ケア児」は推計で全国に約2万人いるとされる。生まれつきの病気や障害などの影響で医療的なケアが欠かせず、登校時に保護者の付き添いを求められたり、保育所などで預かってもらえなかったりする。

 成立した法律では、子どもや家族が住んでいる地域にかかわらず適切な支援を受けられることを基本理念に位置づけ、国や自治体に支援の責務があると明記した。保育所や学校などへの看護師の配置のほか、各都道府県に相談や情報提供をする支援センターを設けることも求められる。

 県が2019年度に実施した在宅重度障害児者などの実態調査では、在宅で生活している1323人のうち、「0~6歳児」が519人(39・2%)、「7~17歳児」が517人(39・1%)だった。必要な医療的ケアでは、「経管(経鼻、胃ろうを含む)」が最も多い121人。「体位交換6回以上(1日)」が82人、「気管内挿管、気管切開」が60人、「経口摂取」が53人などとなっている。

 同法人によると、こまめなケアが必要なために親がつきっきりの状態で過ごす時間が多くなる。親は「短時間しか睡眠がとれない」「働くことをあきらめざるを得ない」、子どもは「家でしか眠れない」「親としかご飯を食べられない」などの問題を抱える。地域や社会との接点がなくなり、親子の自立を妨げることにつながる。一方、保育所や学校などの受け入れも進んでいないという。

 県医療福祉連携推進課の森庸総課長は「重度の障害者が住み慣れた地域で暮らすには医療的入所施設が必要だが、ニーズが高く、確保が難しい。キャンプの開所で障害児の親子の生活が充実することを願いたい」と話した。(松永佳伸)