書き残された「佐川局長の指示」 それでも再調査拒む国

有料記事

米田優人 森下裕介 加藤あず佐 瀬戸口和秀 伊沢友之 北見英城
[PR]

 森友学園問題で22日に開示された「赤木ファイル」には、改ざんに関する財務省佐川宣寿(のぶひさ)理財局長(当時)の「直接の指示」が記されていた。公文書を改ざんし、さらに改ざんについて現場の公務員が記したファイルの公開を長期間拒んできた国は、説明責任を再び問われている。

 518ページに上る「赤木ファイル」には、財務省の担当者がメールで行った改ざんの指示や現場の抵抗などが記録されていた。同省が2018年6月に公表した調査報告書にはない、具体的な文言も含まれていた。

 赤木俊夫さんは、改ざんを指示された内容や日付、指示者などを一覧表にしてまとめていた。調査報告書で「改ざんの方向性を決定づけた」とされた佐川氏について、ファイルには、決裁文書を開示しても新しい情報を与えることがないよう、国会答弁を踏まえて修正するよう指示があった、と記されていた。

 一方、佐川氏からの指示や説明過程などの詳細が近畿財務局側に説明されず、担当者から「その都度メールで投げ込まれてくるのが実態」だったとも明かした。

 同省の担当者はメールで、俊夫さんら近財職員らに対し「削除した方が良いと思われる箇所があります」などと指摘し、改ざんを指示。改ざんした文書を同省側にメールで送り返すことも求めていた。

 17年3月8日。森友学園への土地売却をめぐる決裁文書に対し、会計検査院が国会の要請を受けて検査に入ろうとしたころ、俊夫さんは1通のメールを同省幹部らに送っていた。

 「既に意思決定した調書を修…

この記事は有料記事です。残り2744文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

【10/25まで】すべての有料記事が読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら

  • commentatorHeader
    長野智子
    (キャスター・ジャーナリスト)
    2021年6月23日14時30分 投稿
    【視点】

     ただ一人真っ当なこと、当たり前のことを言っていた赤木さんが、結果改ざんに手を染め自らを責めて命を絶った。せめてもの罪滅ぼしとして事実を克明に記録し、明るみになってほしいという強い思いが伝わってくる。このファイルは国民のために赤木さんが執念

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    遠藤乾
    (東京大学大学院法学政治学研究科教授)
    2021年6月24日12時39分 投稿
    【解説】

     いわゆるモリカケ問題。少なくとも三つの次元がある:①政治、②行政、③市民社会。  ①の政治次元では、安倍晋三前首相の責任は明らかだ。(夫妻の)関与=(首相・議員)辞任という言葉はどこに行ったのか。それを起点に行政が忖度し、自殺者まで出た

    …続きを読む