私たちでつくる「みるく世」 13歳がつむいだ平和の詩
沖縄全戦没者追悼式では、宮古島市立西辺中学校2年の上原美春さん(13)が「平和の詩」を朗読する。県内の小中高生ら計1500作品から選ばれた詩は、「暗黒の過去」を見つめつつ、命をつなぐ大切さを言葉にした。タイトルは「みるく世(ゆ)の謳(うた)」。
小さい時から、祖父が三線(さんしん)を奏で、地元の民謡を聞かせてくれた。好きな歌の一節が、詩で引用した「みるく世ぬなうらば世や直れ」。豊作を祈り、皆の生活がよくなるようにと願う歌。みるく世は、沖縄の言葉で、平和な世だ。
76年前も、人々の心にあっただろう、それぞれの大好きな歌。それが「つらさを乗り越えるパワーになっていたかもしれない」と思いをめぐらし、「平和な世」を多くの人に届けたいと、詩にこめた。
身近に戦争を体験した人はいない。きょうだいが住む沖縄本島に遊びに行ったときに平和祈念公園に立ち寄ったり、ドライブ中に米軍基地を目にしたりして、沖縄戦についてより思いを巡らせるようになった。
空には昔も今も、戦闘機が飛んでいる。樹齢100年を超えるガジュマルの木、この季節に満開を迎える月桃。ずっと変わらない景色がある一方、今の日常が当たり前でない時期があったことに気づいた。
一昨年、めいが生まれ、命について考えた。子守をして、笑える幸せが、いまある。「今を生きる私たちでみるく世をつくろう」。沖縄戦を忘れず未来に伝えつなぐことが、自分の役目だと感じている。(光墨祥吾)
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