福島から逃げた先は原発銀座 再び向き合う「あの不安」
小田健司
運転開始から40年を超えた関西電力の老朽原発、美浜3号機(福井県美浜町)が23日に再稼働した。東京電力福島第一原発事故から10年。事故で福島から福井に避難した人たちは、避難先での全国初の老朽原発再稼働を、不安と無力感を抱きながら見つめている。
「大切なのは、事が起きたときにどう逃げるかということ。福井のみなさんはどこまで想像しているだろうか」
福井県鯖江市の柑本(こうじもと)浩さん(55)は、老朽原発の再稼働を前に改めて思う。
2011年3月11日。東日本大震災の発生当時は、福島県二本松市の温泉旅館で働いていた。翌日夜、福島第一原発の最初の水素爆発を知った。家族を車に乗せ、会津付近まで逃げた。
「放射能の危険から逃れたい一心だった」
「早く逃げろ」。県外の友人から電話やメールで次々と連絡が入った。一度は自宅に戻ったが、14日に2回目の爆発が起きた。
記事後半では、福島から避難した夜のこと、そして避難者2人が抱く再稼働への不安な思いを聞いています。
「こっちに来ないか」。声を…