「公私ともに、たったひとつの自分の名前で生きたいという尊厳の問題です」。最高裁大法廷が23日、夫婦別姓を認めない法律の規定をめぐって憲法判断を示すのを前に、選択的夫婦別姓の実現を国に求めるよう地方議会に陳情する活動をしている「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」事務局の井田奈穂さんに話を聞いた。
結婚を控えて幸せいっぱいのはずの女性が、相手やその家族から改姓を強いられてZoomの画面の向こうで号泣していたり、旧姓を使用している医師の女性が、医師の資格があるかを確認できる厚生労働省の検索システムに名前が出てこないために患者から「ニセ医者」呼ばわりされていたり。私たちに寄せられる声は6割が女性、3割が男性。改姓の不利益は「不便さ」だけではありません。公私ともに、たったひとつの自分の名前で生きたいという尊厳の問題です。
旧姓の通称使用の拡大が進められていますが、おためごかしにすぎない。内閣府の調査によれば、通称使用を認めている企業は約半分。でも海外では通用せず、多くの人があらゆる場面で「あなたの名前は結局どっち?」と問いただされ、「自分が自分であること」を証明するためのコストを払ってきました。
自分の名前で海外にも行けず…
- 【視点】
夫婦間の平等の一歩にしたい、仕事上で困ってしょうがない、一人っ子でそれぞれの家名を残したい・・・・・・。 これまで取材してきた別姓当事者のニーズは本当に様々でしたが、根っこにあるのは井田さんのおっしゃる通り人権問題で、それだけに、既婚者も
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