「裁判を起こした目的は三つ」 赤木雅子さんが意見陳述

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開示された文書をめくり、内容を確認する赤木雅子さん=2021年6月22日午前10時12分、大阪市北区、森下裕介撮影
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 森友学園への国有地売却をめぐる財務省の公文書改ざんに関与させられ、自死した近畿財務局職員・赤木俊夫さん(当時54)の妻・雅子さん(50)が23日、俊夫さんが改ざんの経緯をつづった「赤木ファイル」が開示されたことを受けて、大阪地裁で意見陳述した。内容は下記の通り。

     ◇

 私がこの裁判を起こした目的は三つあります。一つ目が、なぜ夫が自殺に追い込まれなければならなかったのか、その原因と経緯を明らかにすること、二つ目が、上司の軽率な指示や判断で追い詰められて自殺する職員が二度と出ないようにすること、三つ目が夫の遺志に基づき、誰の指示に基づいてどのような改ざんが行われたのか国民の皆さんに説明することです。

 夫が作成した赤木ファイルは、三つの目的のためにとても大切だと考えていましたので、この裁判の最初から提出を求めてきました。そして、1年3カ月経って、やっと昨日、赤木ファイルを手にしました。

 赤木ファイルを見て、手書きの文字が夫の字だとすぐに分かりました。夫が苦しい立場に追い込まれながら、赤木ファイルを作ってメモを残してくれたのだと思うと、涙が出そうになりました。

 赤木ファイルには、私の知らない事実がたくさん記載されていました。夫が具体的な説明もなしに、反対をしても一方的に改ざんを指示されて苦しんでいたことが分かりました。また、佐川さんから国会答弁を踏まえた修正を行うように指示があったという記載もありました。

 しかし、赤木ファイルを見ても、佐川さんの指示がどのように夫まで伝わったのか、その具体的な経緯は明らかになっていません。そのような状態だと、夫のように上司の軽率な指示や判断で自殺に追い込まれる職員がまた出てくると思います。夫も、もし生きていたら、なぜこんな改ざんが行われてしまったのか、赤木ファイルに書けなかったことも含めてちゃんと説明したかったと思います。

 ある教会の牧師さんから、こんな言葉が聖書にあると教わりました。「なすべき正しいことを知っていながら行わないなら、それはその人の罪です」という言葉です。なるほどと思いました。

 国が「なすべき正しいこと」とは、この裁判の中で、赤木ファイルで明らかになった事実や経緯をさらに詳しく具体的にするために、理財局内部のメールなどを誠実に提出して、夫の代わりに国民の皆さんに何があったのかを全てを明らかにすることだと思います。そして、そのためにも、国は、赤木ファイルで明らかになった事実や経緯をもとに、第三者による再調査を実施するべきだと思います。

 また、この改ざんに関わった財務省の皆さん。夫が肌身離さず持ち歩いていた「国家公務員倫理カード」をもう一度お読みください。このように書いてあります。

「国民の疑惑や不信を招くような行為をしていませんか?」

 皆さんが、改ざんの具体的経緯を明らかにしないことは、「国民の疑惑や不信を招くような行為」です。皆さんが「国民の疑惑や不信を招く行為」をこれ以上続けないことを、私は心から願っていますし、夫はきっと私よりも強く願っていると思います。

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財務省近畿財務局職員だった赤木俊夫さん。写真は展覧会を見に東京国立博物館を訪れた時のもの=2016年、東京都台東区、妻の雅子さん提供
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大阪地裁・高裁=2020年10月15日、大阪市北区、米田優人撮影
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開示されたメールの写しを確認し、赤木俊夫さんの名前を指さす雅子さん=2021年6月22日午前10時12分、大阪市北区、森下裕介撮影