「花」だった妹 集った「蝶」たちに救い 大阪女性殺害
ほんまに自慢の妹やったんです――。
大阪市北区天神橋4丁目のカラオケパブで経営者の稲田真優子(まゆこ)さん(25)が殺害された事件で、兄の雄介さん(29)=石川県小松市=が朝日新聞の取材に応じた。

家族思いで、夢に向かってひたむきに進んでいた妹が突然命を奪われた。あまりの理不尽さに涙を浮かべながら、胸の内を明かした。
頑張り屋 心優しい妹
まだ、真優子がいなくなった現実が理解できていないんです。でも、日々が過ぎるほど、その現実も見えてくる。そのたびに、自分が情けなくなります。自分は真優子に何もしてやれんかったって。
真優子がオーナーとして頑張ってた店で殺されてしまったんです。明日明後日と、やること、やらなあかんこと、やりたいことがたくさんあったはず。それが突然ぷっつりと奪われた。本人が一番悔しいはずですよ。
事件のことを考えると、真優子が殺されたときの情景ばかり思い浮かんでしまって。どれぐらいつらかったんかな、怖かったやろうな。本当にやりきれません。いまも心の整理がついていません。
真優子は人に恨まれるような子ではありませんでした。でも、事件の報道を見て、ネット上では、「夜の店の色恋沙汰」がどうとかって、心ないことを言う人がいます。
僕はそういう人たちに、真優子のことを知ってもらいたい。「頑張り屋で、心優しい子だった」って伝えることで、尊厳を守ってあげられるんじゃないかって。
事件を風化させたくないんです。
命を絶たれた妹は、両親に欠かさず手紙を送り、やんちゃな兄の背中を押す「花」のような存在でした。まさかの悲劇の後、思いがけず現れた「蝶」たち。その姿に家族はせめてもの救いを見いだしました。
■「いつもありがとう」 父母…