ふつうって何だろう 小6男子、髪を伸ばして考えた 

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丸山ひかり
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「断髪式」の5日前、下校する大内天慶さん。この日の髪形は三つ編みだった=2021年6月7日、さいたま市南区
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 8歳のときに髪を伸ばし始めて、およそ3年。僕は考えるようになった。「ふつう」って何だろう。

 6月12日、土曜日の朝。さいたま市南区にある、1956年から続く銭湯「鹿島湯」で、同市立浦和別所小学校6年、大内天慶(たかよし)さん(11)の「断髪式」があった。営業時間前のため、客はいない。富士山が描かれたペンキ絵がある風呂場に続く脱衣所に、天慶さんの友達やその保護者、学校の先生ら約15人が集まった。

 腰あたりまで55センチほど伸びた髪の毛とは、きょうで「さようなら」だ。見守ってくれた人たちにはさみを入れてもらい、自分の思いも知ってもらいたくて、家族で親しくしている近所の銭湯で式を開くことにした。

大内天慶さんが思いを語った「断髪式」。記事の最後で当日の様子などを収めた動画を紹介しています。

 「2017年7月、幼稚園から同じ小学校に通っていた友達が急性リンパ性白血病を発症して入院しました」「18年、3年生の春ごろからヘアドネーションをやることにしました」

 みんなの前で、はきはきと思いを伝えた。

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きょうだいや友達など見守ってくれた人たちが集まった「断髪式」=2021年6月12日、さいたま市南区の「鹿島湯」

 続けて、双子のきょうだいで女子の天音(あまね)さん(11)も以前、ヘアドネーションのために髪を伸ばし、2年前に髪の毛を切ったことを「知っていたかたは?」と尋ねてみた。手を上げたのは半分ちょっとだった。

 「周りの人たちは、僕に『偉いね』って言う。僕はうれしいんですが、なんで男子がすると偉いのかなって。それはやっぱり、『男子はふつうは髪を伸ばさない』というのがあると思う」。そしてこう話した。

 「『ふつう』って、何かなって」

嫌がらせが減った後で、気づいたこと

 友達が病気になったと母の聡子さんから教えられたときは、信じられなかった。「自分にできることはないか」と考え、聡子さんと一緒に調べるなどして、ある活動を知った。

 病気の治療などで髪の毛が抜けてしまった人のためのかつらを作るため、伸ばした髪の毛を寄付する「ヘアドネーション」だ。友達に自分の髪が使われたかつらをあげられるわけではないけれど、病気で苦しむ人たちのために役立てる、と思った。

 「髪を伸ばしてみようかな」。思いを家族や友達に伝えると、最初は「いじめられるかも」と心配されたという。聡子さんも、苦労するだろうと想像した。でも「髪を伸ばしながら病気を考えるきっかけになるかも」と見守ることにした。

 髪の長さが目立ち始めると、学校ではこんなことを言われるようになった。

 男子トイレの個室に入ってい…

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