夫婦同姓は合憲「世界に逆行」 ペーパー離婚の医師語る

戸田和敬
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 夫婦同姓を定めた民法と戸籍法の規定は「憲法に違反しない」(合憲)とする判断を最高裁が23日、改めて示した。「世界の流れに逆行している。時代錯誤の判断。覚悟はしていたものの、本当に残念です」。広島市南区の医師、恩地いづみさん(65)はそう落胆した。

 恩地さんは1983年に同じ医師の夫と職場結婚。「法律婚」で姓を変えることに違和感があった。「私は姓を変えないことを望み、夫は『僕が変えようか』と言ってくれた」

 結婚式後もしばらくは婚姻届を出さずにいたが、同僚からは自然と夫の姓で呼ばれるようになった。「嫌だと思っても、なかなか言い出せなかった」。仕方なく婚姻届を提出したが、90年に「ペーパー離婚」して元の姓を名乗り、事実婚を続けている。

 恩地さんは18年、夫婦同姓を定めた民法の規定は「法の下の平等」を保障した憲法違反だとして、国に損害賠償を求め、広島地裁に提訴した。夫婦が別々の姓を名乗れるよう選択制にすべきだという声は高まっているが、広島地裁は19年に訴えを退けた。20年には広島高裁が控訴を棄却。恩地さんらは最高裁に上告している。

 最高裁の初判断から6年。社会情勢の変化を感じている。「ジェンダー問題への意識が高まり、『#MeToo』運動など、若い人が国際的な動きの中で発言する時代になった。世界中で同じ思いを持っている人がいるという考え方に変わってきた」

 だが、日本の夫婦同姓は「合憲」と、再び最高裁で判断された。恩地さんは「この議論を続けている限り、日本は次の段階に進めない。私たちが生きているうちは諦めずに訴えていきたい」と語った。(戸田和敬)