コロナ解雇の元運転手 それでも「必死こいて家族守る」

有料会員記事

近藤郷平、今泉奏
写真・図版
一時帰宅した自宅でスマートフォンを手にする観光バスの元運転手。昨秋に解雇され、ネットの求人サイトをよく見るようになった=2021年6月、愛知県
[PR]

 コロナ禍は人の移動や接触を大きく減らした。このため観光業や運輸業は特に苦しい状況におかれている。解雇された観光バスの元運転手はこう憤る。「俺たちは会社にポイと捨てられた」

「路頭に迷っている状態」

 昨年10月まで観光バスの運転手だった男性(61)はこの1カ月、ようやく見つけた仕事のため、5月下旬から愛知県の家族のもとを離れて、ひとり岐阜県北部にいた。

 大型トラックに乗り、朝から夕方まで、建築工事の現場で出た廃材を運ぶ仕事だ。会社が用意したビジネスホテルに泊まり、食事はもっぱらコンビニの弁当や総菜で済ます。

 男性は「日雇いみたいな感じ」と話す。この仕事は今月までだ。

 日当は1万円超と聞いている。急に決まった仕事で、雇用契約の書類のやりとりも会社としていないという。

 男性は、「仕事をもらい、ありがたいと感じている俺のほうから、契約のことを切り出すなんて無理。信じているけれど、はっきり言って不安だらけ。路頭に迷っている状態」と打ち明ける。7月以降の仕事は、「別の場所で、たぶんありそう」と聞いていたが、決まっていない様子だ。

写真・図版
一時帰宅した自宅の台所に立つ観光バスの元運転手=2021年6月、愛知県

「いいように利用され、ポイと捨てられた」

 それまで、愛知県内にある観光会社の事業所で働いていた。「インバウンド(訪日外国人旅行)はもうかる」。そんな思いで6年ほど前に、別のバス会社から転職してきた。

 外国人客が乗った大型バスのハンドルを握り、東京や大阪などの人気の観光地を行き来した。休みは少なかったが、毎月の手取りは40万円ほど。多い時には50万円になった。このまま65歳の定年まで働き、住宅ローンも完済するつもりだった。

 ところがコロナ禍で、男性の生活設計は大きく狂った。

 会社の経営は、訪日客に依存…

この記事は有料会員記事です。残り1530文字有料会員になると続きをお読みいただけます。
【1/24まで】2つの記事読み放題コースが今なら2カ月間無料!