勝利がボスへの恩返し マリノスの攻撃的スタイルは不変

岩佐友
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(サッカーJ1、横浜F・マリノス2―0サガン鳥栖)

 指揮官が欧州のクラブに引き抜かれる。Jリーグでは珍しい形での監督退任を経て、横浜F・マリノスは3週間半ぶりのリーグ戦に臨んだ。攻め続ける姿勢が実ったのは後半18分。MFマルコスジュニオールが敵陣でボールを奪い、左足でゴールをこじ開けた。

 10日、監督だったアンジェ・ポステコグルー氏が退任し、スコットランドセルティックの指揮官に就任することが発表された。Jリーグで監督が退任する理由の多くは成績不振。実績を残し、欧州の強豪に引き抜かれる形は1996年に名古屋グランパスからイングランドの強豪アーセナルに移ったアーセン・ベンゲル氏のケースがあるが、近年では異例だ。

 シーズン途中。選手の心境は複雑だった。主将のMF喜田拓也は「マリノスとしての取り組みが評価されたのは誇り」とした上で「ボス(ポステコグルー)は大きな存在。寂しい」と喪失感を語った。退任前後に天皇杯とルヴァン杯で立て続けに敗退したところを見ても、チームの動揺は明らかだった。

 それだけ、ポステコグルー氏がもたらしたものは大きい。MF天野純は「サッカーが180度変わった」。伝統だった堅守に頼るのではなく、リードしても必ず次の得点を狙いにいく超攻撃的な戦術で一昨年にJ1を制覇。自分たちのスタイルに誇りを持てるようにもなった。9位に沈んだ昨季も、喜田は「やっている選手たちには充実感がある。結果が出ていなくても、このスタイルは揺らがない」と断言した。

 退任会見でポステコグルー氏は「自分がやろうとしたことは根付き始めている。これを続けてほしい」とエールを送りつつ、心残りを明かした。「もっとタイトルを取りたかった」と。

 その思いに応えるように2位に浮上。マルコスジュニオールは「いつまでも悔やんでいても仕方がない。監督が作り上げたサッカーは継続できる。偉大なクラブは人が去るもの。選手や監督が去ってもクラブは残る。次に向けて、新たなページを作り上げたい」。恩返しのためにも勝ち続ける覚悟だ。(岩佐友)

 松永監督(マ) 暫定的に指揮を執る。「この試合にかける思いが選手にもあった。じれずに我慢強くプレーしてくれた」

 金明輝監督(栖) 「選手はハードワークをしてくれたが、後半はミスから失点した。あのようなミスは逃してくれない」