そのルール正しい? 大坂なおみ選手が投げかける問い

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聞き手・笠井正基 中島鉄郎 桜井泉
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 大坂なおみ選手が全仏オープンの記者会見を拒否した。アスリートのメンタルヘルスへの無理解に対する抗議の意図だったが、賛否は分かれた。この騒動をどう考えればよいのか。(聞き手・笠井正基 中島鉄郎 桜井泉)

選手も一人の人間 「あるがままの自分に気づく」支援を 田中ウルヴェ京さん(メンタルトレーニング指導士)

 大坂なおみ選手が「うつ」状態に悩んでいたことを告白したことは、勇気ある行動だと思います。近年、五輪競泳の金メダリストマイケル・フェルプスさんらスポーツ選手がうつ病などのメンタルヘルスの問題を話せるようになってきてはいますが、アスリートのメンタルに関する社会の認識にはまだまだ偏見があると感じます。

 心は、他人から見えません。本人が感じ、考える心の状況を言葉で伝えない限り、近くで支える人にもわかりません。問題の一つは、トップアスリートであるほど、自分の心の状況を周りに伝えにくいという点です。信頼できる心理専門家がいない場合、例えば、コーチに心の問題を正直に話すと「試合に使ってもらえないのでは」と思ったり、家族に本音を言うと「期待を裏切ってしまうのでは」と感じたりしてしまいます。

 五輪メダリストのストレスに関する研究でも「心の弱さは一人で解決したい」「プライドがあり、他人には言えない」という葛藤が明らかになっています。ただ、心の葛藤は悪いわけではありません。

記事後半では、田中ウルヴェ京さんが、シンクロナイズド・スイミングを引退後に感じていたという思いを語ります。精神科産業医の松崎一葉さんは「大坂発言の根っこには、世代間の価値観の相違がある」と指摘。「新聞を『おじさんジャーナリズムだなぁ』と思いつつ読んでいます」という時事芸人・プチ鹿島さんが、記者会見のあり方への疑問を語っています。

 トップアスリートになれば…

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    中小路徹
    (朝日新聞編集委員=スポーツと社会)
    2021年6月25日14時55分 投稿
    【視点】

     長く担当したサッカーの取材現場を振り返っても、パフォーマンスが良くなかった試合の後など、ミックスゾーンを無言のまま通過する選手もいれば、それについて聞かれるのを覚悟していたかのように、我々の前に姿を現す選手もいました。  少なくとも、「

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    伊藤大地
    (朝日新聞デジタル編集長)
    2021年6月25日10時55分 投稿
    【視点】

    私が大坂選手に感じるのは、社会との距離感の取り方です。記事に指摘されるような世代やSNSの影響が背景にありつつ、受動的に、ルールをすでにある硬直的なものとして捉えるのか、それともルールを構成している社会の一員として能動的に、関わっていくのか