自販機の中からクレープ コロナ禍で苦しむ店主の名案

三浦宏
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 【兵庫県】JR加古川駅前の商店街近くにあるクレープ専門店「うみそらカフェ」(加古川市加古川町寺家町)が今月、店頭にクレープの自動販売機を設置した。コロナ禍で店内飲食自粛や時短営業が続く中、楽しい非接触販売方法はないかと考えた。店頭販売より安くして、店で使えるトッピング券も当たるとあって、連日売り切れる人気を集めている。

 2017年、古い民家をDIY(日曜大工)で改装して海の家風のカフェとしてオープンした。店主の穐原(あきはら)美佳さん(48)は元グラフィックデザイナー。学生時代にクレープ店でアルバイトした経験もあったことから、マシュマロにクリームで目や口を描いてパンダやひよこ、にわとりなどのキャラクターを作り、クレープにトッピングして絵本の世界を再現することを思いついた。

 「デコクレープ」と名付け、翌年、店をその専門店にリニューアル。インスタ映えすると若い女性の間で評判となり、遠くから訪れる人もいるほどにぎわった。だが昨年春、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になると客足はぴたりと途絶えた。4、5月は休業。再開後は自主的に店内飲食を制限し、営業時間も平日は午後1時からの4時間、土日祝日は正午からの5時間と短くした。

 感染対策で注文時だけ店に入り、外で待ってもらうが、1枚ずつ焼くので5分程度はかかる。穐原さんは「コロナが収束しても続けられる、おもしろくて効率のいい非接触の販売方法はないか」と考え、コロナ関連の融資を活用してジュースの自動販売機を購入した。

 早朝からクレープを焼き続けて、冷ましてから巻いてクリームや果物などを詰める。包装して缶ジュースと同じサイズの容器に入れ、午前10時の販売開始に間に合うよう自販機にセットする。一番人気の「バナナホイップチョコ」をはじめ「りんごの甘煮」「あんこホイップ」など日替わりで3~5種類を380~500円で販売。店で購入するより80~130円安く、店で使える「デコマシュマロトッピング券」も当たるようにした。

 今は試験的に30個を準備して午後10時まで販売しているが、夕方には売り切れることが多い。「意外ですが、年配の人が結構買ってくれます」。若者が集まる店には入りにくかったが、自販機なら気軽に買えるようだという。

 「仕込みには手間がかかるが、店を閉めてる時間も自販機は働いてくれます。冷やすだけでなく、温かい飲み物を売る機能もあるので、軌道に乗れば食事系のクレープや焼き芋も売ってみたい」

 店の定休日の火、水曜日は自販機販売も休み。問い合わせは同店(079・497・5455)。(三浦宏)