二つの名字の使い分け サイボウズ青野社長が語る不都合

村上友里
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 夫婦のどちらかが姓を変えなければ婚姻を認めない法律の規定は、憲法違反とはいえない――。23日に最高裁大法廷が示したその判断を、ソフトウェア会社「サイボウズ」の青野慶久社長(49)はどう受け止めたのか。結婚時に妻の名字に変え、選択的夫婦別姓の導入を求めて同種の訴訟を起こしている本人に聞いた。

 青野さんは結婚する際、戸籍上は妻の姓である「西端」に改姓し、仕事では旧姓の「青野」を通称として使っている。

 印鑑は2種類を使い分け、契約書や提出書類によって「青野」が良いか、「西端」にした方が良いのかを確認している。米国出張で滞在先のホテルを通称の「青野」で予約して深夜に到着したところ、本人確認のために提示したパスポートやクレジットカードが戸籍名の「西端」だったため、「予約はない」と言われて困ったこともあった。

 「通称は法律上の根拠がないので、重要な場面になればなるほど使えない」と青野さん。「通称使用を拡大すれば、様々な本人確認のために窓口の負担が増える。そこまでして別姓を認めない理由が分からない」と語る。さらに、旧姓の通称使用は「本人にとっても会社にとっても余計なコストがかかり、日本人の生産性を下げる」とも強調した。

 今年4月には、選択的夫婦別姓の実現に向けた経営者有志の会を作り、共同代表になった。企業や団体役員に賛同の署名を募ると、社員らから通称についての悩みを耳にしていた経営者らの多くが賛同したという。「経営者は反対するより賛成した方が社員から称賛を浴びる。それくらい世論は変わってきている」

 今回の最高裁決定については「女性判事は2人で、前回より減った。男女不平等の日本の縮図で、予想通りだった」という。青野さんが原告となった訴訟も一、二審で敗訴し、最高裁に係属している。それでも「裁判の結果が出るたびに国民の世論が動くことに意味がある」とし、「自分が声をあげることで、別姓に賛成と少しでも言いやすくなれば」と語った。(村上友里)